大和証券投資戦略部(11/21)によれば
バンクオブアメリカ・メリルリンチが発表した11 月の機関投資家調査(11/7~13 実施)の結果
向こう1 年間で「オーバーウエート」にする可能性が最も高い地域を日本とする投資家の比率が
前月比で14 ポイント上昇し、郵政解散選挙で自民党が大勝した直後の2005年11月以来
9年ぶりの高水準になったそうです。
2005年~2006年の相場を経験しておられる方は良くご存じだと思いますが
あの当時は何を買っても損をする気がしなくて、よく猿でも儲かる相場だと言われていました。
ならば来年の東京市場は再び猿でも儲かる相場になるのでしょうか?
そこで日興アセットマネジメントが過去に作成した
2005年度及び2006年度の相場予測を振り返ってみたいと思います。
<2005年度の相場予測>
https://www.nikkoam.com/files/fund-academy/follow-up-memo/pdf/050104.pdf
このレポートによれば幾つかの理由で2005年の日本株は上昇すると予想されています。
以下にそのポイントを抜き出してみます。
①内外景気は「巡航速度」で回復、企業収益は堅調な推移が期待出来る
②国内株式市場は出遅れ感修正後の揉み合いも予想されるが、景気・企業収益に対する
悲観論の後退・解消に伴ない、割安感や敵対的企業買収などのテーマを材料に上昇する
③国内景気の先行きを見るうえでは、米国経済と中国経済の行方が引き続き重要
④ 米ドル安の進行には注意が必要。
まず①に関してはアベノミクスの成果次第ですから、現時点で景気回復は絵に描いた餅と同じです。
しかも円安に頼っている現状の株価は虚像だと考える方が賢明で
わざわざ貨幣価値が下落した国の株をオーバーウェートにするのは疑問です。
次に②について。現状は追加緩和で株価は上昇していますが
株価は何れファンダに収束します。しかし日銀にファンダを改善させる力はありません。
つまり現状は急激な円安と金融緩和による景気期待感で株価が先行しているだけだと考えれば
まだまだ楽観は禁物と言えそうです。
③について、米国の景気は上向いていますが中国の景気減速は否めません。
因みに、OECDは中国の潜在成長率が長期的に5%まで落ち込むと予想しています。
こうしてみると④を除いて2015年度の相場環境は2005年度に比べまだまだリスクを抱えています。
因みに、当時と現在とでは証券税制も異なっていますので参考までにご紹介して置きます。
<2005年当時の証券税制>
http://rich-navi.com/investment-13.html
<2006年度の相場予測>
https://www.nikkoam.com/files/fund-academy/follow-up-memo/pdf/060104.pdf
2005年度と同様にポイントをまとめてみます。
①国内景気は堅調な設備投資や、雇用・所得の拡大持続を受け個人消費が安定し
内需主導で改善を続ける
②中国は第11次5ヵ年計画がスタートすることもあり
インフラ投資を主な牽引役として、引き続き高成長が予想される
③2007年から始まる「団塊の世代」の大量退職に伴なう人件費の大幅低下もあり
2007年度に初の6期連続増益が実現するとの予想も見受けられる
①の設備投資は継続して伸びる可能性もありますが、個人消費は円安が強い逆風になりそうです。
ですから内需主導での伸びが期待出来ないどころか、輸出の伸びも低迷している現状は
2006年当時とは全く環境が異なります。
また、賃金も円安の恩恵を受ける一部の企業で上昇する可能性はありますが
実体経済が伴わない賃金上昇はあまり期待しない方が良いでしょう。
特に日本企業は不況時に備え、利益を内部保留する傾向が強いので
円安による為替差益を従業員や株主に手放しで還元するとは到底考え難いと思います。
まして中小企業は材料費の高騰で益々経営が圧迫される恐れもあり
こうした状況が続けば、結果的に株価は下押しするリスクを抱えていると言えそうです。
また②と③は2006年当時のサプライズであることを考えると
冒頭でご紹介したバンカメの投資家調査は「ホンマカイナ?」という印象です。
そもそも「買うぞ!」と言って置いて買う馬鹿はいませんからね!(^_^;)