今年に入って、比較的静かだった株価が、9月26日の高値16,374円から、10月17日の14,529円へと、わずか20日間に1,845円も急落しました。アベノミクスが第一幕から第二幕へ切り替わったとき、1ヶ月間に3,360円下げましたが、それ以来の大幅な下げです。なにがあったのでしょうか。
この間に目立ったところでは、9月末までの国内金融機関による決算対策と思われるETF売りと、10月に入ってからはGS社による先物の大量売りがあります。GSの売りは、背後にヘッジファンドがいるものと思われ、期末決算を控えた仕掛けと見ることができます。
今年に入ってからのヘッジファンドの運用成績は不調で、本国での金融引き締め観測から、資金の本国還流を進めていると見ていたのですが、久しぶりに力を見せ付けたという感じです。
とはいっても、これだけ大幅な下げを演出し、追従売りを誘ったのには、それだけの背景があったはずです。
1.国内外の経済情勢
中国、ヨーロッパを中心とする景気減速懸念
アメリカではQE3の終了から金利引き上げ
国内では消費税増税後の落ち込み
円安にもかかわらず輸出が伸びず、物価上昇による消費減退
2.政治情勢
内閣改造が裏目に出て、女性閣僚が同時に辞任
消費税再引き上げの時期が迫る中、安倍内閣の支持率低下
3.需給
ドル高円安による海外勢の資金引き上げ
日銀のETF購入資金枠上限接近
年金資金、投資信託による決算発表待ち
などなどです。
これほどまでに多くの悪環境が重なったのは、安倍内閣始まって以来といえます。ヘッジファンドならずとも、売りたくなるのも無理はありません。需給関係以外は、ほとんど解消されていないので、更なる売りに繋がりそうですが、外国人ファンドの財政状況からすると、売り崩しに出るほどの力はないようです。GSの売りも、買い持ちの解消のようで、新しく売りポシションを持つとは考えられません。
企業業績の発表が始まりましたが、海外移転の進んでいる企業の業績は好調で、これから本格的な決算発表となると、さらに好調な企業決算が見られるようになります。今回の下げで、日本企業のPERは14倍台まで低下しましたが、決算の進行とともにいっそうの割安感が生じます。
消費税増税決定の期限が迫ってきて、政局の安定のためにも、さらに1,000円ほどの株価上昇が至上命題となって、ありとあらゆる手段を使って株価対策をするものと思われます。消費増税先送り議論もありますが、私としては、先送りになった場合、安倍内閣の支持率の低下は避けられず、消費増税はあるとの前提で株価を考えています。
アベノミクス相場は来年いっぱい続くと見ていますが、年初からの第三幕は、業績相場でここまできましたが、今回の下落によっても買われる銘柄、業種は変わりません。立ち直りの早い銘柄の持続をお勧めします。そろそろ相場の山頂が見えてきましたので、強弱感が対立し荒い値動きとなります。好調業種には買いが集中しますが、利益伸び悩み企業は大きく売られますので、企業の業績変化には、今まで以上の注意が必要となります。
悪環境の改善には時間が掛かるかもしれませんが、相場を動かすのは企業業績です。企業決算発表が終了する11月初旬から、徐々に下値を切り上げて、年末に向けて18,000円をトライするという流れは変わっていません。