100万円を1年間で120万円にするというのは、株式投資を行う上では地味な目標に感じられるかもしれません。しかし、数年をかけて継続できれば効果は絶大です。
たとえば、年率20%で複利運用(再投資)できれば、運用資産は10年で6.1倍、100万円は619万円になり、1000万円は6191万円になります。また、20年で38.3倍となり、100万円は3833万円、1000万円は3億8337万円にもなります。
大切なことは、ルールを決めて行うことであり、数年をかけて目標に達しようとするならば、大儲けを狙う必要はありません。
さらに言えば、大きな目標を達成するには「マネジメント(管理)」という概念が必要です。マネジメントを説明する際には、アポロ計画の話がよく引き合いに出されますので要点をご紹介させていただきます。
当時、アメリカは有人宇宙飛行でソ連に先を越されており、「月がソ連の領土になってしまう」といった危機感も手伝い、1961年、ケネディ大統領の「60年代が終わるまでに月へ行く」との言葉とともにアポロ計画がスタートしました。
その際に使われた手法が「プロジェクト・マネジメント」です。経験もなく、非現実的にさえ見える大きな目標に対し、そこに到達するまでの要件や問題点を徹底的に細分化し、細分化された一つ一つの要件・問題点をクリアしながら全体の工程を管理していくことで遥か壮大な目標に到達する手法をいいます。
たとえば、ある目標に到達するための必要条件を5つ上げ、さらにその1つ1つをクリアするための要件や問題点を5つあげ、同じようにして細分化を続ければ最終的には細かい要件がたくさん並んだツリー状の図ができあがります。つまり逆算的な考え方です。
プロジェクト・マネジメントは効率的に、確実に目標に到達するための手段であり、あらゆる分野で活用されています。しかし現実には、明確な目標があるにも関らず、そこに到達するまでの過程を経験や勘、運や度胸、努力や根性といったものだけで乗り越えようとしているケースが少なくありません。
株式投資におきましても、大きな目標に到達するには、要件や問題点の細分化、計画とマネジメントが重要であるといえます。
長期的なマネープランと中期的な目標があり、日々の資金管理がありますように、相場観測におきましても中長期的な相場観と目先的な相場観がありますが、この二つを混同しないように注意したいものです。注意しないと、ついつい押し目で売却したり、吹き値で購入したりといったことになってしまいがちです。