先週金曜日のことですが、真っ赤に染まった夕焼け空が話題になりました。
今まで見たこともないような濃い赤色で、地震の前兆ではと不安がる人もいたようですが、台風が接近する前の夕焼けは異常に赤くなることがあるそうです。たしかにその日は台風19号が日本の南の海上にありました。
ちなみに、キレイな夕焼け空が見られる条件は、昼と夕の気温差が大きいこと、湿度が高いこと、上空に雲があっても西方にはないことだそうです。寒気が入った日や雨上がりなどに好条件になる確率が高くなります。
ところで、清少納言は「枕草子」で「秋は夕暮れ時が一番良い」としましたが、秋と夕暮れを題材にしたものとしては「新古今和歌集」に収められた「三夕(さんせき)の歌」(下記)が非常に有名です。
さびしさはその色としもなかりけり
まき立つ山の秋の夕暮
寂蓮法師
心なき身にもあはれは知られけり
鴫たつ沢の秋の夕暮
西行法師
見わたせば花も紅葉もなかりけり
浦のとまやの秋の夕暮
藤原定家
補足としまして、三夕の歌の三人の作者は、清少納言よりもずっと後の人です。また、三夕の歌はともに三句目が「けり」で終わる三句切れ、最後の五句目を「秋の夕暮」で体言止めにした同形式の歌ではありますが、句の向こう側に見える心象風景は三者三様となっています。