昨日9日のNYは12280.32(+70.51)。ナスダックは続落だが、ダウは小幅の反発。個人消費、住宅市場の懸念がのこっているが、原油価格が下落したので、それを好感したということのようだ。だが実際にはマクドナルドの売り上げの伸びなど、個別の事情に反応したような感じもあり、相場全体の様相はあまり変わっていないという気がする。事実、5月20日から、13026ドルから12192ドルまで800ドル以上下げてきたことからいえば、あくまでも下げ一服という状況だといえよう。現在の水準は、日足では雲のはるか下。転換線も基準線も雲の中に入ってきている。週足も基準線、転換線を大きく割り、週足RCIも急落しつつあり、週足MACDもシグナルを切ってきているので、調整の真っ最中といわねばならない。だが月足は、基準線をきっているものの、RCIは下げ止まって反発しており、ここからみるとここから大幅に下げるとはなかなか考えにくい。したがって目先、中期的には調整に入るものの、調整は、1-2ヶ月程度の中期的なものにとどまるのではないだろうか。1月、3月の下値を結んだ上昇トレンドラインは割らずにすむのではないか、と希望的に思っている。
そもそも繰り返しのべているように、原油は、長期のRCIがずっと天井にはりついており、いつまでもこのまま上昇が続くというのは、どうも考えにくい。投機的な動きは所詮短期の鞘取りであるから、下げ始めれば下げで儲けようとする人がでてくるのだから、どこかで反転してくるはずだと思う。だから景気が後退して、原油の需要が減退するはずなのに、原油、商品市況が牽引して、このまま本格的なインフレに入るという可能性はあまり高くないのではなかろうか。また原油がここまであがり、あげ続けないにしても高止まりすれば、新たなエネルギー開発が活発化し、相当のタイムラグをおいてではあろうが、結局は新たなエネルギー供給が増えてくることになり、結果として、長期的な視野にたてば、インフレによるダメージでアメリカはだめになるというより、原油高によって、石油離れとエネルギー源の多様化が促進されるのではないかとも思う。アメリカ大統領選挙の様子をみていても、遅ればせながらアメリカもついに、エネルギー浪費国から脱却し、グリーン政策をすすめる方向に向かう芽がでているのではないかという気がする。目端の利く企業家はすでにその方向へ走っているはずなので、そうした模索から新たな成長の機会すらうまれてくるのではないかと期待したい。
アメリカの国債市場をみると、 株価ほどには、どうも下げ(金利上昇)てはいない。10年もの国債の金利は、基準線、転換線をわらずに上昇基調をたもっている。もし、景気後退がありながらも、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長の発言にあるように、インフレ懸念がでているとすれば、あるいはインフレ懸念まではいかないにしても、景気後退は浅いと判断されれば、金利は上昇を続けるか、あるいは少なくとも下降局面には転換しないと考えられよう。そして金利が上昇し続けるならば、外為市場は、ドル高に動くことになる。実際、ドル/円は 106.63/68円となっている。ドル円の日足チャートは、きれいに基準線、転換線の上に位置して、ドル高方向に走っており、週足も基準線を超え、基準線をいまのところ、ともっている。そして月足は、転換線近辺まで戻ってきていて、RCIは明確にドル高方向へ上昇中だ。ドル高トレンドはなかなか変わりそうもない。
この中で日経平均は、14021.17円(160.21円安)となった。NYダウが反発し、円安もすすんだが、日経平均は続落、一時1万4000円を割り込む場面もあった。中国株などアジア株が下落したこと が影響したようだが、NYへの不安が抜けないということなのではないか。日足基準線を割り込んでおり、日足RCIも下げに入っており、週足はNYと違って基準線のうえだが、週足RCIもさげはじめており、当面はめさき、中期とも調整入りの可能性が高い。しかし月足は、雲の上限近辺でまだ踏みとどまっているともいえ、RCIも上昇中。NYより形がいいので、下げは限定的になるのではないかと期待したい。