第5回「株式投資で失敗する原因と対策①」~損切りと塩漬け対策
株式投資でなかなか成果を得られない原因と対策について5回に分けて書こうと思いますが
今回は主に「損切りが苦手」という方へのヒントになればいいと考えています。
①努力しない
(勉強しない、学習能力に欠ける、計画性がない、資金管理をしない、一攫千金を追う など)
②リスク管理を怠る
(損切りが苦手、塩漬けに慣れっこ、衝動買いをする、資金配分を考えない、ヘッジをしない)
③メンタルが弱い
(感情を抑えるのが苦手、判断に迷う、決断が遅い、多数派の意見に付く、「たら・れば」が多い)
まず①に該当する人は、基本的に株式投資に手を染めるべきではありません。
趣味やゲーム感覚で儲かるほど甘い世界ではないからですが、こういう人が居てくれるお蔭で
私のような素人でも儲けさせて貰えるのも事実です。つまり相場の肥やしになるだけだと思います。
勉強しない人
政治・経済に疎い、相場の歴史を知らない、決算書やチャートが読めない
こういう人は人一倍努力しない限り確実に破産します。投資は一に勉強二に勉強です。
学習能力に欠ける人
学習能力にに欠ける人は必ず同じ過ちを繰り返します。
例えば地合に応じたトレードの判断は、相場の歴史や自分自身の経験が財産なので
少なくとも自らの体験を記録し、相場環境に応じた判断基準(マニュアル)作りは不可欠です。
つまり工夫しながら着実に課題を克服出来る人、即ち進化出来る人でなければ生き残れません。
計画性に欠ける人
まず投資は余裕資金で行うのが鉄則です。
ですから衝動買いをしたり、資金配分を考えずに投資すると高い確率で失敗します。
株を買う時はその銘柄の情報をどれだけ知っているかで勝負の半分以上が決まるので
こういうタイプの人は事前調査に充分な時間をかける必要があるでしょう。
また一度に買わず数回に分けて買う(打診買いからスタート)とか
銘柄を分散させるなどして集中投資を避ける方が賢明だと思います。
資金管理を怠る人
投資は資産を運用する訳ですから資金管理を行うのは当たり前で
丼勘定で投資を続ければ資産は確実に減って行くのが普通です。
資金管理が苦手な人は、前回お話しした「目標管理」を是非実践して頂きたいと思います
一攫千金を追い求める人(一発逆転を狙いたがる人)
こういう人は基本的にギャンブル好きなので負けると必ず取り返したい衝動に駆られます。
この時に注意すべきことは、借金をしないことです。
借金をすれば投資どころか生活することさえ出来なくなります。
ギャンブル狂は決して投資には向きません。
次に②③に該当する人の多くは感情をコントロールすることが苦手な人です。
そもそも勝てる投資家の主な要件とは資金力、努力、技術、環境、強いメンタルだと思います。
しかし個人投資家の場合、資金力とトレード環境には限界があるので
努力、トレード技術、メンタルを集中的に鍛えるしかありません。
中でも株は心理戦と言われる様に、トレードの場ではしばしば心理的な駆け引きが行われるので
洞察力や判断力に欠ける人はなかなか成果を出すことが出来ません。
さらに実際のトレードではしばしば感情が判断の邪魔をしますから
精神面を鍛えることは極めて重要です。
そこで次は、メンタルの強化に関連してロスカット出来ない人の改善策を考えてみます。
損切り出来ない人(塩漬けを作る人)
損切り出来ない人の多くは、楽観的か決断力(判断力)に欠けるかの何れかの場合が多く
例えば相場全体が暴落すると殆どの人が逃げ遅れます。
また、損切り出来ない人の心理はの
「売った途端上がりそうな気がする」、「売った後で上がると悔しい」だと思います。
ですから利確の場合も同様の理由で、しばしばタイミングを逸してしまいます。
つまり損切り出来ない人は利益も取り損ねるというダブルの不幸に見舞われる可能性が高いので
何としても矯正しなくてはなりません。
では具体的にどうすればいいか?答えは四つあります。
損切りを躊躇する人は、目先の勝ち負けや勝率に拘わる傾向があります。
ですから最初の答はトータル管理に徹することです。
全ての取引で利益を出すことは不可能なので
1勝9敗でもトータルがプラスになれば良いという考え方に改めてみてはどうでしょう。
一つ目の方法として、年度ごとに決算を行うことが効果的だと思います。
一決算期という期間を区切ってトータル管理を行えば、個々の売買結果に拘ることは無くなります。
投資の目的は資産の運用ですから
ファンドマネージャーや企業の経営者並みの自覚を持つべきです。
少なくとも含み益があるだけで欲しいものを買ってしまう様な甘い考えは捨てた方が良いでしょう。
二つ目は、損切りルールなどを盛り込んだマイルールを作りそれを遵守することです。
例えば損切りラインの設定(短期は一律、長期は個別など)や
一向に株価が動かない場合の対処法などがそうです。
因みにマイルールをなかなか守れない人は、取り敢えず逆指値の活用をお奨めします。
三つ目は損切りした後の株価がどうなろうと完全に無視することです。
どうしても気になる人は、マイ・ボードから削除し、一度その銘柄のことを忘れましょう。
但し売買の判断が正しかったかどうか検証し、その経験を蓄積することも大切なので
ほとぼりが冷めた頃こっそり覗いて記録して下さい。
四つ目は数字のマジックを理解することです。以下に具体例を二つ紹介します。
(1)1株1000円で買ったA社の株が950円になったとします。この時の下落率は5.0%ですが
950円の株価が1000円になるためには5.0%の上昇では届かず
実際には5.26%の上昇率が必要です。
つまり株価は下落時と上昇時で、値幅は同じでも率が異なるという訳です。
(2)同様に100万円の元手で10万円損をすると減少率はマイナス10%ですが
元手が90万円に減っているため、10万円取り戻すには11.1%のパフォーマンスが必要です。
さらに100万円の元手で50万円損失を出せば、資金の減少率は50%ですが
50万円の損失を取り戻そうと思えば、パフォーマンスは100%という計算になります。
つまり資産を半分に減らすのは簡単ですが、倍にするのは極めて困難だということです。
この様に株価を変動率で考えると
損切りを躊躇して放置するとが、取り返しの付かない事態に繋がることをご理解頂けると思います。
序に余談ですが、以前私が塩漬け防止として考えたのが同一銘柄で枚数を増加させる方法です。
つまり上昇トレンドの銘柄から一銘柄選択し、上がれば売り下がれば買うを繰り返しながら
利鞘で枚数を増やして行くという方法です。
この場合、枚数を増やすことが主たる目的ですから、何度も回転させなくてはならないので
塩漬けにしている暇などありません。
ただ売買の回数が増えるので手数料が嵩むことと
売買のタイミングを誤る度に資金が減少するという欠点もありますが
あくまで小額資金で塩漬けの癖を矯正しながら
同時に売買経験を重ねるという意味では強ち間違った投資法ではないと思います。
<まとめ>
◇トータル管理という視点に立てば年間を通じて100回トレードを行っても
1回の損切りは僅か100分の1に過ぎない
◇勝率に拘っている限り損切りは難しい。取引で全勝することなど不可能
6勝4敗が目標であれば10回の投資で4回も損切り出来る
◇10回の投資で9回損切り(1勝9敗)しても収支がマイナスになるとは限らない
◇株価は下落時と上昇時とでは、値幅は同じでも率が異なる
(上昇時にはより大きなパワーを要することを自覚して下さい)