明日のことは誰にも分からないかもしれませんが、株価は絶えず変動し、波を作ることだけは間違いのない現象です。波は毎日、毎週、毎月と繰り返され、短期波動、中期波動、長期波動となりますが、長期波動はだいたい4~5年で、安値から高値を付け、また最低に移行するという周期変動を繰り返すことが知られています。
期間については、株の変動現象よりも確度は高くありませんが、景気のサイクル、あるいは市場関係者の利害関係から、上昇波動はだいたい2~3年、下降波動は1~2年というのが、コンセンサスになっています。最近では、政治の力で、景気の持続を図る努力もされますので、上昇期は長く、下落期は短くなる傾向も見て取れます。
期間についてはそのときの経済、社会情勢で変わるとしても、波動現象は、市場経済が続くかぎり存在し続けます。投資の成果は、株価の波動を読んで「いい株を安値で買い、高値で売る」ことにありますから、これを何回繰り返すことができるかで、その人の生涯投資成果が決まります。
そこで疑問です。
「なら、毎日の波動を読んで株の売買を繰り返すほうが、長期波動よりチャンスが多いのでは?」
もっともな質問です。この理論は、デイトレの根拠となって、短期取引に夢中になっている人たちの支えになっています。でも結果を見てください。デイトレで株をやっている人たちの80%までが、1年間で投資を諦めているのです。
株式投資は、将来の変化に資金を預け、預けた資金を取り合うゲームの要素を持ち、ギャンブルと考えたほうが分かりやすいのです。最近では多くの参加者は、株をゲームと考えて、株式市場に参加しています。証券会社を始めとする市場関係者も、短期売買による売買高の増加で、潤っている構図も見て取れます。
株式投資というと、すぐに株の売買による儲けを連想しますが、売買益だけが株式投資ではありません。投資によって企業活動を支援し、経済を発展させ国を豊かにし、その果実として値上がり益や配当を受け取り、資産を増やしてゆくのが、株式投資本来の目的なのです。経済の発展とともに伸びる企業の株を持つことで、資産価値を引き上げ、企業からの配当金で安定した収入を得られるほうを取りたいのです。
株は、売買益と配当収入を得られる数少ない金融商品です。ただ、配当金で豊かな老後を送るには、最低でも5,000万円は必要になります。短期間に5,000万円を作ることは、夢の中では可能かもしれませんが、実際にはほとんど不可能です。リスクとリターンは表裏一体で、大きく儲けようとすれば、それなりのリスクを覚悟しなければなりません。
リスクを抑え5,000万円を作れるのは、時間を武器にするしか方法がないのです。ただ、その場合でも、生涯時間は豊富にあっても、資金が少ない世代と、ある程度の資金があっても、生活に忙しい世代とでは、投資方法も変えなくてはなりません。
「波乗り投資法」では、時間と資金の両面から、45歳までに「ためる」、65歳までに「ふやす」、65歳からは、配当金で「あそぶ」ことを目的にします。
20年を一区切りにしたのは、この間に停滞期から始まり、天井期を経て下落する株価のサイクルが、少なくとも4回は含まれるからです。目的達成には必要十分である上に、生活環境は20年ごとに変化するという考え方にも合致しています。株式投資といっても、生活環境や資産によって、リスクの取り方が変わってきます。投資法もそれに合わせなければなりません。