本日の東京株式市場は大幅高となり、年明け1月8日につけた終値ベースの年初来高値(1万6121円)に次ぐ高値で取引を終了しました。
その一方で、赤字幅拡大と上場以来初めての無配転落を発表したソニーが急落しました。しかし、以前の「ソニーショック」のようにはならず、個別の問題であるとして売りは広がっていません。
※ソニーショック:03年4月の決算発表で減収減益となったソニーが急落し、ハイテク株を中心に売りが波及したことで全体の相場も大幅安となり、日経平均株価とTOPIXがともに当時のバブル崩壊後の安値を更新したこと。
ちなみに、ソニーの今回の赤字幅拡大・無配転落に関しては、悪材料出尽くしではなくさらなる下方修正のリスクもはらむとして株価の底打ちには懐疑的な見方がある一方で、今回の業績悪化と無配転落、それに伴う事業や人員の断捨離は先行きを見れば最終局面であるとの見方もあります。
また、ソニー株は5月21日の1600円割れを底に一昨日の2173円まで約37%上昇(同期間の日経平均の上昇率は約14%)してきただけにその反動も大きくなりがちなことや、1株当たり純資産(2163円)を下回ってきていることを指摘する声も聞かれます。
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【1】今日の相場 **
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◎日経平均
16067.57(+178.90)△1.13%
◎TOPIX
1317.91(+ 12.95)△0.99%
◎売買高概算 22億5644万株
◎売買代金概算 2兆3822億円
◎時価総額 470兆1276億円
◎値上り銘柄数 1290 ◎(年初来)新高値 127
◎値下り銘柄数 423 ◎(年初来)新安値 7
◎変わらず 115
◎騰落レシオ(25日)118.28%
◎カイリ率(日経平均)
25日線比+2.81%
75日線比+4.44%
◎為替
(対ドル) 108.64
(対ユーロ)139.92
◎出来高上位
1.みずほ <8411>
199.7円(+ 0.7円)133,161千株
2.ユニチカ <3103>
48円(+ 1円) 93,842千株
3.ソニー <6758>
1940円(-183.5円) 85,416千株
4.住石HD <1514>
136円(+ 16円) 84,828千株
5.三菱UFJ<8306>
621.2円(+11.5円) 52,197千株
◎売買代金上位 (円)
1.ソフトBK<9984>
8690円(+ 128円)192,697百万
2.ソニー <6758>
1940円(-183.5円)162,483百万
3.トヨタ自 <7203>
6445円(+ 136円)105,961百万
4.日経レバE<1570>
11210円(+ 240円) 59,752百万
5.三菱UFJ<8306>
621.2円(+11.5円) 32,418百万
◆相場概況
外国証券の寄付前の注文状況・・・売り1130万株 買い1140万株
本日の東京マーケットは日経平均株価が大幅高、前日比178円(1.13%)高の1万6067円と約8ヶ月ぶりに1万6000円台に乗せて取引終了です。
昨晩のNYダウが24ドル高となって史上最高値を更新したこと、米FOMCの結果を受けて日米金利差拡大から円相場が1ドル=108円台と大幅に円安が進行したことを好感して朝方から主力輸出関連中心に幅広い銘柄に買いが先行、13:04には上げ幅が217円となって1万6106円まで買われる場面がありました。円相場は14:38に一時108.86円まで円安が進行しています。日本時間の本日午後に英北部スコットランドの英国からの独立の是非を問う住民投票を控えていることもあり、引けにかけてはやや上げ幅を縮小しています。売買代金は概算2兆3822億円、上海総合指数は8ポイント高の2315です。
業種別では、機械、自動車、精密、銀行、土石、不動産などの上げが目立ちます。
個別銘柄では、一押しの村田製作所が425円高の1万1310円と値を飛ばして年初来高値を更新。外国為替市場での円安・ドル高進行を好感し、加えて米アップルのスマートフォン「iPhone6」の発売を明日に控えてアップル関連銘柄として物色の矛先が集まっています。関連銘柄としてアルプス電気も46円高の1699円と値を上げています。
セラミックコンデンサーで世界シェア上位の太陽誘電が63円高の1181円と値を飛ばしています。円安・ドル高を受け、海外売上高比率が約8割に達する同社の業績上振れ期待が高まっています。加えて、自動車の自動運転技術に注目が集まっており、感知センサーなどを提供する同社株を物色する動きが見られます。
ミクシィが昼から急伸、460円高の5860円となっています。11:30にスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」の海外展開を発表。10月に北米、12月に韓国で提供開始をするとしており、海外展開の具体性を好感した買いが集まっています。
トヨタ自が7日連続高、136円高の6445円と約8ヶ月ぶりに年初来高値を更新しています。円相場が1ドル=108円台半ばと前日に比べて1円あまり下落しており、輸出採算が改善するとの期待が広がっています。トヨタは15年3月期の想定為替レートを101円としており、対ドルで1円の円安進行で営業利益を400億円押し上げます。
尚、2015年3月期の連結最終損益が2300億円の赤字になる見通しと発表したソニーは8500万株を超える大商いで183.5円安の1940円となっています。9:33には一時1844円の安値まで下押しする場面がありましたが、徐々に下げ幅を縮小。寄付き値を上回っての陽線を形成しています。
その他、円安を好感して海外売上高比率70%のアシックスが156円高の2306円と大幅高、フォークリフト大手のニチユ三菱が31円高の783円、三菱重工が24.2円高の678.1円。ジェネリックの日医工が14円高の1717円と年初来高値を更新、三井物産も4.5円高と小幅高ながら1756円と値を上げて年初来高値を更新、無印良品を手掛ける良品計画が400円高の1万2710円と値を飛ばしています。
本日の新高値銘柄は、味の素、旭化成、信越化学、日医工、中国塗料、三ツ星ベ、日立建機、住友重機、JUKI、TDK、村田製作、三井造、日産自、トヨタ、スズキ、富士重、TBK、キヤノン、三井物、三菱商、阪急阪神・・・等々です。
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【2】主な材料 **
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・FRB、来月で量的緩和終了 政策正常化の道筋提示
・東京市場、円急落 株は大幅高 FOMCの結果受け
・8月の貿易統計、輸出が1.3%減 2カ月ぶり減少
・4~6月期の需給ギャップ、マイナス2.3%に拡大
・個人金融資産残高、過去最高の1645兆円 6月末
・スズキ、エブリィやハスラー合計41万台をリコール
・ガソリン給油所価格、9週連続値下がり 16日時点
・米アップル、10月21日にiPad新モデル発表か
・スコットランド独立を問う住民投票始まる 即日開票
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【3】主な投資判断 **
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[クレディS証券]
据置き A
(6301)コマツ 2,600→ 3,000円
引上げ B→A
(6326)クボタ 1,500→ 2,000円
据置き A
(6361)荏原 800→ 820円
[UBS証券]
据置き A
(2229)カルビー 3,900円
据置き A
(6861)キーエンス 50,000円
据置き C
(6758)ソニー 1,550円
[ゴールドマンS証券]
据置き A
(3391)ツルハ 6,300円
[シティG証券]
据置き A
(2802)味の素 2,000→ 2,250円
[野村証券]
引下げ A→B
(9104)商船三井 520→ 420円
[三菱UFJMS証券]
据置き B
(6758)ソニー 1,900円
引下げ B→C
(6419)マースエンジ 1,660→ 1,610円
[みずほ証券]
据置き A
(3407)旭化成 920→ 1,050円
据置き A
(4543)テルモ 2,700→ 3,000円
[大和証券]
引下げ 2→3
(4666)パーク24 1,910→ 1,680円
※3段階評価はA~C、5段階評価は1~5にて表記
※投資判断を再開した場合は新規と記載
※価格は各証券会社が判断する妥当株価
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【4】個人金融資産と資産構成比 **
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日銀が本日発表した2014年4~6月期の資金循環統計(速報)によりますと、6月末の家計が保有する金融資産(個人金融資産)の残高は、前年同月末比2.7%増の1644兆7604億円となり過去最高を更新しました。
参考までに、個人金融資産の内訳は下記のようになっています。
※構成比 ※前年比
全体
1645兆円 2.7%増
現金・預金
874兆円(53.1%) 1.6%増
債券
29兆円( 1.8%) 7.0%減
投資信託
82兆円( 5.0%) 14.5%増
株式・出資金
150兆円( 9.1%) 5.9%増
保険・年金準備金
441兆円(26.8%) 2.1%増
その他
69兆円( 4.2%) 5.1%増
尚、日米の家計の資産構成比(米国は今回の数値と14年3月末の数値)を比べますと下記のようになります。
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現預金 債券 投信
株式 保険 その他
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日本
53.1 1.8 5.0
9.1 26.8 4.2
米国
12.9 7.6 12.1
33.3 31.3 2.8
(単位:%)
米国と比較した場合、日本の金融資産は極端に現預金に偏っており、政府がNISA(少額投資非課税制度)を導入した狙いの一つは、非課税制度で株式投資を促し、この歪(いびつ)な構図を変えることです。
観光立国(国内の特色ある自然環境や都市光景などを整備して国内外の観光客を誘い込み、人々の落とすお金を国の経済を支える基盤の一つにすること)を政策にかかげる政府は、ビザ免除の拡大や羽田空港の国際線増便などで訪日観光客の増加に努めています。その効果もあって8月の訪日外国人数は8月としては過去最高を記録し、1月からの累計も過去最高のペースで推移していますが、外国人にとって足元の円安進行で訪日旅行の割安感が増していることも大きな要因となっています。