あさっての投資家さんのブログ
竹、月、力の物語8
第八話:決意
急に倒れてしまった桃姫。
毬雄と累二は突然の事に驚きました。
「こ、これは一体どうしちまったんだ?」
毬雄は事態を把握できません。
しかし女神デメテルはすぐに事態を把握しました。
「なるほど、先ほどの煙は永遠の美の素。
桃姫はまだ神ではありませんでしたね…。」
累二は女神デメテルに説明を求めます。
「何が何だか、さっぱりだぜぃ。
女神様、何が起きたが教えてほしいぜぃ。」
女神デメテルは少し悲しそうに説明します。
「箱に入っていた煙は永遠の美の素です。
永遠の命を持つもの、つまり神々にとっては永久の美を与える力になりますが、
束の間の命しか持たないもの、つまり人間や動物にとっては死の眠りと引き換えに、
永遠の美を与えるのです。」
「な、なんだってー!」
驚きの声を上げた配管工兄弟。
戸惑いながら毬雄が問います。
「そんな…。女神様、何とかならねぇもんですかい?」
「方法はただ一つ。
ゼウス様から神酒ネクタルをいただき、この子に飲ませるのです。
元々神になる素質はあるので、飲ませれば神として生まれ変わる事ができるでしょう。」
累二は顔を輝かせます。
「おぉ、それなら早速ネクタルとやらを貰いにいこうぜぃ!」
「ただ、ネクタルをいただける保障はどこにもありません。
しかし、母として出来る限りのことはしなければ。」
女神デメテルは決意しました。
身代わりが必要なら、喜んで自分がなろう。娘の為ならば。
女神デメテルの視線は遥か遠く、
ゼウスのいるオリンポスの方角に向いていました。
続く。