NHKによると8月の内閣支持率は、7月より4ポイント上がって51%でした。アベノミクス相場の最大のリスクは、内閣支持率とみていましたので、正直いって「あれ!」との思いです。この1ヶ月の間に、これだけ支持率を回復させたものは……。
SNSなどでは、集団的自衛権等に対する一部マスコミの反キャンペーンが、功を奏さなかったことや、野党の勢力不足などをあげています。朝日新聞の従軍慰安婦報道や、拉致被害者救済問題は、この時点ではまだ未消化で、今回の支持率回復には影響していない模様です。
株価の回復が、支持率の向上に繋がったのでしょうか。でも……、外国人は資金不足、国内待機資金は下落待ち、個人投資家は増税の影響で買い気消失と、市場は「さんすくみ」状態にあり、為替も動いていません。買ったのは政府系金融機関でした。
材料がないまま、株価が内閣の支持率を上げたのでしょうか。
実は同じテーマで、過去3回「日記」を書いています。
初回は、2002年1月、このときは宮沢内閣。次は2006年10月の小泉内閣。3回目は、2010年1月の鳩山内閣のときです。前2回は株価と支持率の動きが順相関、鳩山内閣のときは逆相関にあるとして取り上げています。
内閣が高い支持率をえて安定しているときは、経済対策が打ちやすいため、株価が上がるのは容易に想像できますが、逆に株価が上がれば支持率が上がるのでしょうか。はっきりした因果関係はなさそうですが、「いいように解釈して」今後の支持率を占ってみました。
支持率を上げる要素としては、朝日新聞問題と拉致被害者の救助問題があります。朝日問題が、なぜこの時期に出てきたのか分かりませんが、外交問題にはいい影響を与えそうですから、今後の進展しだいでは、かなりポイントを稼ぎそうです。
一方、マイナス要素としては、消費税の再引き上げ、沖縄知事選、集団的自衛権の対応など、どちらかというとマイナスのほうが多いような気がします。
頼りになるのは、「株価」ではないでしょうか。
というよりは、ここで株価を上げておかないと、消費が落ち込みによる景気の失速、消費税の再引き上げ延期、国家的プロジェクトとして発足した年金改革とNISA導入の失敗、円安による物価高の不満……。
一気に政府不信が高まってきます。
従来、この手の株価操作は、株価の適正な価格形成を損なうものとして、学者の間では反対論が多かったものです。ただ、リーマンショック後の大不況の救済措置としてアメリカが、間接的に使うようになって、今では株価を適切な水準に戻すようであれば、正常な経済対策とみなされるようになってきました。マスコミも学者の間でも、表立って反対の声をあげる人は少ないようです。
それだけに、今回のPKOは腰が入っています。当然買われる銘柄が変わるはずですが……。
ところが本来なら、弾けてもおかしくない新興市場銘柄は、当分延命措置を受けそうです。
今年に入って証券会社の業績が悪くなっています。稼ぎ頭だった外人さんが買わないのですから、当面は狭い市場で短期の売買を繰り返す個人投資家頼みの営業です。こんなときに相場をぶち壊せば、よりPKOに負担が掛かります。
現在の新興市場の一部業種は、2005年から6年1月までのライブドア相場によく似てきました。
当時、新興市場の風雲児「堀江」氏は、株式の大量分割を繰り返すことで、時価総額を上げたのです。市場ではホリエモンマジックとして、新しい手法に驚嘆の声をあげました。利益のパイが大きくならなくても、分割による期待利益が膨らむことで株価が上がりました。
いまのゲーム関連の一部銘柄はどうでしょうか。株式分割は当時ほどではありませんが、今期の利益見通しを発表しないことで、期待利益が膨らみます。何しろこの業界には、1年で利益を何十倍にもしたガンホーがいるのです。利益を未発表とすれば、ガンホー並みの利益が夢のままです。
堀江氏は、テレビ業界を取り込もうとして、経済界からの攻撃を受け、結局村上ファンドとともに潰されてしまいました。ゲーム業界はアニメとともに、日本の「あそび」文化に根ざした産業として、新興市場を盛り上げてきました。
それにしても、そろそろ成熟期に入った市場に新規参入者が続出する中で、膨れ上がった時価総額を支えられる会社は、そう多くはないような気がします。今期利益見通しが明確となる10月ころには、夢が弾けてもおかしくありません。
証券会社は、はめ込み先を決めて買うそうです。一般の投資家は上がるから買うようです。ライブドアの弾けは、一部証券会社の無担保措置もあり、一気に紙くずになってしまいました。市場は大混乱となり、値がつかず損切りもできなかったのです。
かなりの経験をつんだ私の友人も、これでやられてしまいました。
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