ロシア国防省が、ウクライナとの国境付近で実施していた軍事演習を終了したことを8日夜に明らかにしています。演習に参加していた軍機はそれぞれの基地に帰還し、対空ミサイル部隊も機材を通常配備されている場所に向け搬送を開始したとしています。
ところで、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、5日に開いたGPIFの運用委員会で国内株式の保有上限を撤廃した模様です。
約130兆円ある全資産の18%までと定めていた上限を超えても買い増せるようになります。9月に新たな資産割合を決めるまでの暫定措置で、9月以降は国内株式の割合を20%台に増やす見通しです。
現在、国内株式の場合の目安は12%%ですが、上下に6%分の幅を認めており、保有割合は6~18%の範囲となっています。仮にこれが20%となりますと、保有割合の範囲は14~26%となり、上限は8%増えることになります。
国内株式の運用比率を1ポイント増やせば約1兆3000億円の買いが発生することになり、8%株の保有割合が増えれば約10兆円の買いが発生することになり、株式マーケットにとって大きなインパクトがあります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――∞
【1】NY市況 **
――――――――――――――――――――――――――――――――――∞
□ダウ工業株 16553.93(+185.66)△1.13%
□ナスダック 4370.90(+ 35.93)△0.83%
□S&P500 1931.59(+ 22.02)△1.15%
□ダウ輸送株 8092.47(+100.39)△1.26%
□半導体株(SOX) 606.23(+ 6.85)△1.14%
□NY原油先物( 9月限) 97.65(+ 0.31)
□NY 金先物(12月限)1311.00(- 1.50)
□バルチック海運指数 777 (+12)
□為替 (対ドル)102.04 (対ユーロ)136.83
□CME日経225先物 15010(+250)※大証比
先週末8日のNY株式市場は、ウクライナやイラクを巡る不安感の後退で買い戻しが広がり反発しました。
朝方発表された4~6月期の労働生産性(速報値)は市場予想を上回りましたが、地政学リスクの高まりで日本や欧州の株式相場が下げたこともあって、NY株式市場も慎重なムードで取引が始まりました。
その後、ウクライナ国境付近でのロシア軍の軍事演習が終了したと伝わると相場を圧迫していた重石がはずれたように買い戻す動きが拡大。前日の取引では米軍によるイラク空爆承認が相場を圧迫し、この日実際に空爆が始まりましたが、オバマ大統領がイラク政府軍を支援する政治的な姿勢を明確にしたことも不安感後退につながりました。
市場は全面高の様相となり、指数は引けにかけて上げ幅を拡大。ダウ、ナスダックともにこの日の高値圏で取引を終了しています。
S&P業種別指数は全10業種が上昇し、中でも公益、エネルギー、一般消費財、資本財などの上昇が顕著でした。
個別銘柄では、好決算を発表した半導体のエヌビディアが急伸。同じく好業績を手掛かりにアパレルのギャップが大幅高となり、百貨店のコールズやメーシーズ、家電量販店のベストバイなども上昇。高級ブランド「グッチ」や「サンローラン」などを傘下に持つ仏ケリングがコーチに買収を提案するとの噂が広がり、コーチも大きく値上がりしました。
バイオ医薬品のテクミラ・ファーマシューティカルズが急騰。同社が開発中のエボラ出血熱治療薬に関して感染者への試験的投与を米当局が認可したことが材料視されています。一方、赤字幅拡大や収益見通しの下方修正が嫌気されたソーシャルゲームのジンガが下落し、冴えない決算を発表したメディアのニューズコープも軟調に推移しました。
ダウ構成銘柄は30銘柄中28銘柄が上昇。ホームデポ、ゴールドマン・サックス、シェブロン、アメリカン・エクスプレスなどが上昇率上位。インテルとマイクロソフトの2銘柄が小幅安で取引を終了しています。
NY原油先物はイラク空爆による供給への懸念から買いが優勢となり続伸。不安心理が高まると資金が流入しやすい金先物は、過度の先行き不安の後退で反落しました。バルチック海運指数(BDI)は5日続伸です。
CME日経225先物は、円建てが15010(大証比250円高)、ドル建ては15020(同260円高)で取引を終了しました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――∞
【2】主な注目材料とニュース **
――――――――――――――――――――――――――――――――――∞
☆注目材料
= NYダウ、大幅高 =
先週末のNYダウは大幅高、前日比185ドル高の1万6553ドルとなっています。
シカゴ日経平均先物は1万5010円と8日(金)の東京市場の日経平均株価1万4778円と比べて230円ほど高い水準となっています。
週末のNY市場の円相場は、対ドルで1ドル=102円00銭~10銭(8日16:00台は101円62銭前後)と円安に振れています。NY株高を受け、米長期金利が上昇。日米金利差拡大から円売り・ドル買い(円安・ドル高)の動きとなっています。
対ユーロは1ユーロ=136円80銭~90銭(同136円12銭前後)と5日ぶりに円安に振れています。
NY原油は小幅高、前日比0.31ドル高の1バレル=97.65ドルと2日連続で上昇しています。
NY金価格は小幅安、前日比1.5ドル安の1トロイオンス=1311.0ドルと3日ぶりに値下がりしています。
8日(金)の日経平均株価は大幅安。前日比454円安の1万4778円となっています。当日算出された8月限オプションSQ値1万5036円を258円下回っています。
6月24日に164%まで上昇した騰落レシオは、8日(金)時点で78%まで低下しています。同指数の目安として、レシオ80%割れからそろそろ仕込みの準備に入り、レシオ70%前後は底値ゾーンとなります。
本日は、15:00に7月の工作機械受注・速報値が発表されます。6月の同・確報値は前年同月比34.1%増の1276億4000万円と9ヵ月連続で前年同月実績を上回っています。うち内需は33.1%増の426億6000万円と12ヵ月連続で増加。外需は34.6%増の849億8000万円と8ヵ月連続で増加しています。
その他 今週の主な国内経済指標・行事は、本日は8月の日銀金融経済月報。12日(火)は7月の首都圏新規マンション発売戸数、6月の鉱工業生産・確報値。13日(水)は注目の4~6月期の国内総生産(GDP)速報値、日銀金融政策決定会合議事要旨(7月14~15日開催分)。14日(木)は6月の機械受注の発表などが予定されています。
海外では、本日はタイ市場が休場(~12日)。12日(火)は8月の独ZEW景況感指数、7月の米財政収支。13日(水)は7月の中国鉱工業生産、7月の中国小売売上高、7月の中国都市部固定資産投資、7月の米小売売上高など。
週後半の14日(木)は4~6月期の独GDP・速報値、4~6月期のユーロ圏GDP・速報値。15日(金)は韓国・インド市場が休場。4~6月期の香港GDP、7月の米卸売物価指数、7月の米鉱工業生産・設備稼働率の発表などが予定されています。
米主要企業の四半期決算の発表で、13日(木)はシスコシステムズ、メーシーズ。14日(金)はアプライドマテリアルズ、ウォルマートなどが予定しています。
今週、第1四半期(4~6月)の決算発表を予定している主な企業は以下の通りとなっています。
【11日】(月)
日揮(1963)、甜菜糖(2108)、飯田GHD(3291)、
石原産(4028)、ぴあ(4337)、日医工(4541)、
サニックス(4651)、富士石油(5017)、荏原(6361)、
東京精(7729)、近鉄(9041)、上組(9364)
本決算:ショーボンド(1414)、
中間決算:東洋炭素(5310)
【12日】(火)
日本風力開発(2766)、マツキヨHD(3088)、
日本アジアG(3751)、クレハ(4023)、電通(4324)、
大幸薬品(4574)、太平金(5541)、木村化(6378)、
オリジン(6513)、フェローテク(6890)、
日電子(6951)、セイコーHD(8050)、ニプロ(8086)、
東映(9605)、常磐興(9675)、
本決算:アルバック(6728)、ラオックス(8202)、
中間決算:トレンド(4704)
【13日】(水)
日基技(1914)、UT(2146)、新日本化学(2395)、
ファンケル(4921)、TYK(5363)、
Jトラスト(8508)、アイフル(8515)、
学研HD(9470)、
本決算:グリー(3632)
【14日】(木)
BML(4694)、サイバダイン(7779)、
中間決算:東燃ゼネ(5012)・・・等々。
◆主なニュース
・上場企業増益、製造業けん引 4~6月期は2%増
・公的年金、株式運用の上限撤廃 20%台に拡大へ
・日米間の光回線、容量4倍 グーグルが通信網接続
・丸紅・豊田通商、米でガス火力発電所 米社と建設
・スカイマーク、A380全機断念 今期大幅赤字も
・ヨドバシ新店、国内最大級 20年メド新宿で集約
・LINEに続け 日本発の「ミリオンアプリ」続々
・半導体工場、お盆も稼働 東芝はスマホ向け好調で
・ソフトバンク、4~6月期68%減益 本業は好調
・米大統領「イラク軍事支援続ける」 長期化も示唆
◆経済指標等
・第3次産業活動指数(6月、経産省)
・マネーストック(7月、日銀)
・金融経済月報(8月、日銀)
・消費動向調査(7月、内閣府)
・工作機械受注(7月速報、日本工作機械工業会)
◆その他
・主な決算 日揮(1963:総合エンジ首位)
飯田グループ(3291:一建設や飯田産業など6社統合)
荏原(6361:半導体研磨装置等で世界的技術)