本日の市況

ヒロろんさん

 この時期のキンキンに冷えたビールはまた格別です。ビール類には酒税法によって一定の税が課せられていますが、ビール、発泡酒、第3のビールなどの種類によってその税率は異なります。

 今さらですが、大まかに定義しますと、原料の3分2以上が麦芽ならビール、麦芽の使用量が3分の2未満のものが発泡酒、麦芽以外の原料でつくられたビール風味のアルコール飲料が第3のビールで、ビールは小売価格のおよそ半分が税金であるのに対し、麦芽の使用量が減るほど税率は大きく下がります。

 サッポロビールが第3のビールとして販売していた「極ZERO」が実際には発泡酒と認定されたことから、サッポロは国税当局に追加で116億円の酒税を払うことになり、その分を特別損失として計上、通期業績も当初の黒字予想から赤字予想に修正しています。

 国内のビールを取り巻く環境は、高齢化や人口の減少、若者のビール離れもあって消費は頭打ち、国内のビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の国内総出荷量(2013年)は9年連続で過去最低を更新中です。

 一方で、世界のビール類の消費量は、アジアなどの新興国を中心に年々伸びており、国内市場とは対照的となっています。

 ちなみに、国別のビールの総消費量(2012年)は、1位:中国(4420万キロリットル)、2位:アメリカ(2418万kl)、3位:ブラジル(1280万kl)、4位:ロシア(1056万kl)、5位:ドイツ(863万kl)、6位:メキシコ(689万kl)の順で、日本(554万kl)は7番目となっています。※日本はビール、発泡酒、第3のビールの合計。

 また、1人あたり消費量でみると様相が変わり、1位:チェコ(148.6リットル)、2位:オーストリア(107.8リットル)3位:ドイツ(106.1リットル)、4位:エストニア(102.4リットル)、5位:ポーランド(98.5リットル)が上位で、日本(43.5リットル)は40位まで順位を下げます。

 ところで、ビール大手4社の2014年6月の中間期決算が昨日出揃い、サントリーHD(非上場)が、1~6月の売上高と営業利益で初めてトップに立ちました。

 5月に買収した米蒸留酒大手ビーム社が、サントリーの上期業績に売上高で575億円、営業利益で54億円貢献したことが大きく、通期業績にもビーム社の2200億円余りが上乗せされ、サントリーは年間でも国内最大手になる見通しです。

 サントリーは、近年ではフランスのオランジーナ、英国で人気のルコゼードやライビーナ、米蒸留酒のビーム等のブランドを次々に傘下に収めなるなど積極的なM&Aで海外事業の拡大を図ってきました。国内市場の頭打ちが鮮明となる中、サントリーは一つの手本を示しています。



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【1】今日の相場                         **
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◎日経平均  15232.37(+ 72.58)△0.48%
◎TOPIX  1258.12(+  6.83)△0.55%

◎売買高概算  22億1085万株
◎売買代金概算  2兆0508億円
◎時価総額  449兆0334億円

◎値上り銘柄数 1213  ◎(年初来)新高値 37
◎値下り銘柄数  488  ◎(年初来)新安値 37
◎変わらず    116

◎騰落レシオ(25日) 82.91%

◎カイリ率(日経平均)25日線比-0.92%   75日線比+1.95%

◎為替  (対ドル) 102.28  (対ユーロ)136.82

◎出来高上位

1.みずほ  <8411> 196.8円(+ 1.7円)201,893千株
2.三菱UFJ<8306> 592.1円(+ 2.8円) 53,359千株
3.アイフル <8515>  560円(+  19円) 51,092千株
4.ユニチカ <3103>   45円(-   1円) 47,354千株
5.シャープ <6753>  306円(+   2円) 38,270千株

◎売買代金上位                           (円)

1.日経レバE<1570>10100円(+  50円) 79,305百万
2.ソフトBK<9984> 7041円(+  69円) 73,575百万
3.コロプラ <3668> 4045円(+ 270円) 52,039百万
4.トヨタ自 <7203> 6028円(+  39円) 46,514百万
5.みずほ  <8411> 196.8円(+ 1.7円) 39,438百万



◆相場概況

 外国証券の寄付前の注文状況・・・売り540万株 買い500万株

 本日の東京マーケットは日経平均株価が6日ぶりに上昇、前日比72円(0.48%)高の1万5232円で取引終了です。

 昨晩のNYダウは13ドル高でしたが、ウクライナ情勢の緊張の高まり、そして円相場が1ドル=102.10円前後と円高に進んだことを嫌気して朝方から売りが先行。13:25には下げ幅が97円となって1万5061円まで下押しする場面がありました。ただ、1万5100円前後はテクニカル的な下値サポートなっており、その水準以下では押し目買いが入り、加えて14時過ぎには「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の日本株比率を12%から20%超に増やす方向で9月末にかけて調整」と報じられると一気に買いが優勢となり、引けにかけて安値から170円の上昇を演じる展開となっています。売買代金は概算2兆508億円、上海総合指数は29ポイント安(1.3%)安の2187です。

 業種別では、非鉄、情報通信、水産、建設などの上げが目立ちます。

 個別銘柄では、13時に営業利益が前年同期比96%の大幅増と発表した清水建設が12円高の815円と値を上げて年初来高値更新、震災復興関連など手持ち工事高水準の青木あすなろ建設が86円高の771円と大幅高、通信工事最大手のコムシスHDが16円高の1874円、同じく通信工事のミライトHDが62円高の1117円。

 海上土木大手の東洋建設が16円高の460円と上値追いの展開継続、土木に強い前田建設が29円高の897円、土木工事の鉄建も11円高の383円と値を上げています。

 石油資源開発が185円高の3940円と値を飛ばしています。14時に4~6月期の連結営業利益が81億円と前年同期比48%増と発表し、好業績を好感した買いが入っています。海外で原油や天然ガスの販売が伸びており、国内では天然ガスの販売価格が上昇しています。

 日本エアーテックがストップ高、80円高の555円となっています。西アフリカでエボラ出血熱の感染が拡大していますが、その関連銘柄として同社に思惑的な買いが集まっています。同社はエボラ出血熱やラッサ熱など最も危険度の高い病原菌用に使用される緊急感染症患者の隔離搬送用「バイオセーフティカプセル」を製造しています。

 NOKが254円高の2321円と大幅高。昨日の引け後に4~6月の連結営業利益が前年同期比3倍の110億円と発表し、好感した買いが膨らんでいます。同社は自動車用オイルシールで国内7割、世界5割のシェアを有しており、販売が拡大しています。

 明治HDが860円の大幅高で8340円と上場来の高値を更新。昨日の引け後に四半期決算を発表し、営業利益が前年同期比14%増と2桁増益となり、好感した買いが膨らんでいます。

 その他、スポーツ施設業界首位でカジノ機やゲームも手掛けるコナミが4日連続高で42円高の2495円、賃貸住宅事業を地主に提案する大東建託も165円高の1万2685円と連日で上昇、無印良品を手掛ける良品計画が50円高の1万2760円、三井物産が25.5円高の1668.5円と値を上げています。

 本日の新高値銘柄は、清水建、青木あすなろ建、東洋建、カルビー、ヤクルト、明治HD、コスモス薬品、テルモ、日本信号、NOK、大研医器、宇徳、テレビ東京・・・等々です。



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【2】主な材料                          **
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・公務員給与、7年ぶりプラス改定 ボーナスも引き上げ

・7月の都心オフィスビル空室率、5年4カ月ぶり低水準

・7月末時点の外貨準備高、4カ月ぶり減 評価目減りで

・7月第5週の部門別動向、海外投資家3週連続買い越し

・東急百貨、駅ビルに小型雑貨店を展開 3年で20店舗

・清水建の4~6月期、純利益2.3倍に 利益率改善で

・東レの4~6月期、純利益11%増 炭素繊維のけん引

・イタリアが景気後退局面 2四半期連続マイナス成長に

・エボラ出血熱、米対策当局が警戒レベル最高に引き上げ




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【3】主な投資判断                        **
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[野村証券]
 据置き   A(2269)明治HD      7,500→ 9,000円
 据置き   A(8031)三井物産      2,100→ 2,300円
 据置き   A(8279)ヤオコー      5,400→ 6,700円
 据置き   A(9432)NTT       6,830→ 7,910円
 引下げ A→B(3863)日本製紙      2,400→ 1,940円

[SMBC日興証券]
 据置き   A(9984)ソフトバンク        9,900円
 据置き   B(9432)NTT       5,900→ 7,000円

[三菱UFJMS証券]
 据置き   A(6770)アルプス電気    1,500→ 1,700円
 据置き   A(9404)日本テレビ     2,000→ 2,060円

[みずほ証券]
 据置き   A(4541)日医工       2,150→ 1,840円
 据置き   A(6869)シスメックス    3,900→ 4,500円
 据置き   A(6961)エンプラス     9,100→ 8,100円
 据置き   A(9513)Jパワー      3,500→ 3,900円

※3段階評価はA~C、5段階評価は1~5にて表記
※投資判断を再開した場合は新規と記載
※価格は各証券会社が判断する妥当株価





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【4】JPX日経400採用銘柄入れ替え              **
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 年明けから算出が始まった株価指数「JPX日経インデックス400(JPX日経400)」は、企業がどれだけ効率的に利益を稼ぎ出しているかを測る指標「ROE」(自己資本利益率)を重視して構成銘柄を選定しており、指数の開発者でもある日経新聞社では「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される株価指数であると説明しています。

 そのJPX日経400算出以来初となる構成銘柄の入れ替えが8月末に行われます。入れ替え実施に先立ち、本日、追加31銘柄と除外31銘柄が発表されましたのでご紹介させていただきます。


 ◆追加銘柄(新規採用銘柄)

  1719 安藤・間      7003 三井造船
  1881 NIPPO     7014 名村造船所
  2181 テンプHD     7261 マツダ
  2229 カルビー      7459 メディパル
  2433 博報堂DY     7752 リコー
  2712 スターバックス   8382 中国銀行
  2784 アルフレッサ    8515 アイフル
  3003 ヒューリック    8572 アコム
  4578 大塚HD      8586 日立キャピタル
  6395 タダノ       8601 大和証券
  6479 ミネベア      8609 岡三証券
  6703 沖電気       8616 東海東京フィナンシャル
  6724 セイコーエプソン  8628 松井証券
  6752 パナソニック    8848 レオパレス21
  6841 横河電機      9810 日鉄住金物産
  6952 カシオ計算機


 ◆除外銘柄

  1417 ミライトHD    7246 プレス工業
  2212 山崎製パン     7516 コーナン商事
  2270 雪印メグミルク   7522 ワタミ
  2607 不二製油      7550 ゼンショー
  2685 アダストリア    7581 サイゼリヤ
  2767 フィールズ     7599 ガリバー
  3048 ビックカメラ    7729 東京精密
  3098 ココカラファイン  7739 キヤノン電子
  3167 TOKAI     7966 リンテック
  3315 日本コークス    8012 長瀬産業
  3941 レンゴー      8035 東京エレクトロン
  4541 日医工       8369 京都銀行
  4553 東和薬品      8600 トモニHD
  6758 ソニー       9204 スカイマーク
  6845 アズビル      9697 カプコン
  7004 日立造船



 ちなみに、世界最大規模の機関投資家で、国民年金・厚生年金の積立金約130兆円を管理する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、広くまんべんなくといった従来の運用方針から、ROEを重視した運用に変更するとしており、JPX日経400の構成銘柄がそのまま世界最大の機関投資家の保有候補となります。

 また、JPX日経400に採用されるということは、株主の資金を有効活用している企業であるとの証しになるため、その他の運用担当者や投資家の運用の判断にも少なからずの影響を与えそうです。
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