モメンタムとは(本日の終値-N日前の終値)のことでN日移動平均線の傾きに相当する。
3日移動平均について考えれば
当日の3日移動平均の値=(当日終値+1日前終値+2日前終値)÷3
前日の3日移動平均の値=(1日前終値+2日前終値+3日前終値)÷3
移動平均の傾き=当日の移動平均値-前日の移動平均値=(当日終値-3日前終値)÷3
モメンタム=当日終値-3日前終値=3x移動平均の傾き
N日前より今日の方が高ければ移動平均線は上向きでトレンドも上向きと考える。モメンタムは移動平均線ほどにはテクニカル指標として馴染みはないように思われるけれど、移動平均線が上向きか下向きかは誰でも無意識のうちに見ているのではないだろうか。移動平均線が上向きになったら買いというのは立派なルールである。しかし、システムとして使うと移動平均線が水平に近いときにはごく僅かにプラスになるかマイナスになるかでサインが頻繁に入れ替わるのでダマシが多く発生する。
モメンタムに似た指標にスロープというものがある。これは指定期間の回帰直線の傾きを示す。回帰直線とは概略的にはその期間の終値のバラつきの中心を通る直線である。回帰直線が Y=aX+b で表されるならaがスロープである。スロープの値はエクセルを使えば次の式で簡単に求めることができる。
=SLOPE(Yの期間,Xの期間)
回帰直線が上向きなら移動平均線が上向きなのと同様に上向きのトレンドであるといえる。
モメンタムとスロープは非常に似たものであるが全く同じわけではない。スロープは一日当たりの変化率なのに対してモメンタムは差を示しているので日数で割らなければ直接比較することはできない。これらを併用するとダマシは少なくできる。
最近まで5日モメンタムと5日スロープはほとんど同じようなものとなんとなく思っていた。しかし、最近使ったプログラムで実際に使ってみて厳密にはそうでもないことが分かった。5日モメンタムは中5日で実際には6日分の変化が関与する。一方スロープの方は当日を含む5日分のデータしか使用しない。