Ayasofya (Istanbul, Turkey) / t-mizo
トルコでは、中央銀行の独立性を巡り、首相と中央銀行との綱引きが続いていますが、24日にトルコ中央銀行は政策金利を0.75%引き下げました。
トルコでは、昨年来の大規模な汚職事件による政治的動揺を主な原因として、トルコリラが対米ドルで過去最安値を更新していました。これに対し、今年1月末に中央銀行が「異次元引き締め」とも言うべき大幅な利上げ(4.25%)を断行した結果、通貨安に歯止めがかかりました。
しかし、景気浮揚の足かせとなる利上げに対してエルドアン首相は反発し、4月頭には「すぐに利下げすべき」と中央銀行の独立性を脅かすような発言をして市場から顰蹙を買いました。
こうした政治的圧力に屈したのかどうかはわかりませんが、5月22日に中央銀行は想定外の利下げを行ったものの、エルドアン首相はさらなる大幅利下げを強く求めていました。
こうして強い利下げプレッシャーを首相から受ける中で大幅な利下げをしてしまうと、政府からの圧力に屈したことになり中央銀行に対する市場の信認を失いかねません。今回の0.75%利下げというのは、中央銀行としては苦渋の決定と言えそうです。とはいえ、首相は引き続き利下げ要求をエスカレートさせてくることでしょう。
この綱引きはどこまで続くのでしょうか。
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トルコ中銀が0.75%利下げ、首相が求める大幅利下げに踏み切らず
トルコ中央銀行は24日、主要政策金利の1週間物レポレートを75ベーシスポイント(bp)引き下げ、8.75%とした。ただ、エルドアン首相や一部閣僚が求めていたほどの大幅な利下げには踏み切らなかった。
翌日物貸出金利は12%に、翌日物借入金利は8%に、それぞれ据え置いた。
ロイターの調査では、エコノミスト20人全員が、主要政策金利の引き下げを予想。うち16人が50bp、3人が75bp、1人が25bpの利下げをそれぞれ想定していた。
中銀はインフレ率が今月から大きく低下し始めるとの見通しを示した。また世界的な流動性をめぐる状況は大幅に改善しているとした。
中銀の決定が発表された直後に通貨リラ は対ドルで2.1320リラから2.1280リラに上昇した。中銀が政治的圧力に屈してより大幅な利下げに動く事態が避けられたことから、安心感で買われたもよう。
UBS(ロンドン)のストラテジスト、マニク・ナライン氏は「市場が見込んでいたよりもややハト派的な動きだったが、中銀はある程度の信認を獲得し、インフレ率は低下しつつある」と述べた。
エコノミストらは、欧州中央銀行(ECB)による追加緩和、今後数カ月でのトルコのインフレ率鈍化見通しや国債利回りの低下を受けて中銀が慎重な利下げに動くと見込んでいた。
中銀は前月の決定会合で1週間物レポレートを50bp引き下げていたが、エルドアン首相は十分ではないとの見解を示していた。首相は8月の大統領選に向けて経済成長率の維持を目指しており、中銀の政策を度々批判し、利下げを求めていた。
トルコの5月のインフレ率は前年比9.66%と、中銀による年末見通しの7.6%や中期目標の5%を大きく上回っている。それでも中銀は、インフレ率は6月から鈍化が始まると繰り返してきた。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ウィリアム・ジャクソン氏は顧客向けノートで「(中銀は)市場の信認を維持する必要性と政府からもたらされている大幅な利下げ圧力のつり合いを保つ努力を続けている。利下げ幅が大きくなるほど、(中銀は)自身の信認が揺らぎ、投資家が逃げ出すことによるショックに経済が悪影響を受ける危険性も膨らんでいく。現在は、際立った形の持続的な利下げにふさわしい状況にはなっていない」と記した。
またあまりに急激な利下げは、既に他の新興国通貨に対してアンダーパフォームしているリラに打撃を与えかねないとの声も聞かれた。
スピリオ・ソブリン・ストラテジーを率いるニコラス・スピリオ氏はロイターに対して「先月の段階で既に、中銀がインフレとの対決に関する信認を損なうという代償を払っても1月の大幅な利上げを積極的に巻き戻そうとしていることは明白だった。中銀が緩和を進めれば進めるほど、政治圧力に屈したとの見方を強めてしまう」と懸念を語った。
アルンチ副首相やシムシェキ財務相などは、政府は中銀の独立性の必要を理解し、金融政策には介入しないと主張している。しかしエルドアン首相は再三にわたって、投機筋がトルコ経済を犠牲にして金利を押し上げようとしているとして、中銀に注文をつけてきた。
キャピタル・エコノミクスのジャクソン氏は「中銀が今後どれだけの幅で追加利下げするか予想するのは難しい。しかし政府の口調がより攻撃的になっていることや、市場が利下げを許容しているという事実を踏まえると、利下げ幅の累計は相当の規模になる可能性がある」とみている。
(ロイター, 2014/6/25)