GPIF改革で年金が国債を売って株を買うのが既定路線ですが、
一部報道で、すでに前倒しで株を買い始めたと言われています。
2014年5月5週(5月26日~5月30日)の、売買金額の集計を見てみましょう。
※データは東証のサイトで簡単に見れます。
http://www.tse.or.jp/market/data/sector/
分かり易いように、単位を億円にしました。
(1)生保・損保 -188億円
(2)都銀・地銀等 -5億円
(3)信託銀行 +2,466億円 … 年金買いの可能性
(4)その他金融機関 -26億円
----------------------------------
(A)金融機関合計 +2,248億円
(1+2+3+4)
(B)投資信託 388億円
(C)事業法人 330億円
(D)その他法人等 98億円
----------------------------------
(あ)法人合計 3,064億円
(A+B+C+D)
(い)個 人 -3,125億円
(う)海外投資家 -192億円
(え)証券会社 -170億円
----------------------------------
委託計(あ+い+う+え) -423億円 (自己計は 385億円)
以上のデータより、
どうやら年金が買い出動しているのではないかと囁かれています。
そして、その年金買いを上回る規模で個人投資家の売りが出ています。
海外投資家も売り越しですが、個人投資家より桁一つ少なく、
取引量を考えると実にニュートラルです。
以上のような基本的な数字を頭に入れていただいてから、
ブルームバーグのこちらの記事をご覧になってください。
日本株で信託銀が存在感、年金変化も-首相はGPIFに催促
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N6OXBX6JTSF201.html
以下引用ーーーーーーーーーーーーーーーーー
東京証券取引所が5日に公表した5月第5週(26-30日)のデータによれば、
年金基金の動向などを反映する信託銀行 は5週連続で日本株を買い越した。
買越額は2499億円に達し、2009年3月4週(2508億円)以来、5年2カ月ぶりの高水準だ。
半面、日本株の売買代金シェアで6割強を占める海外投資家 は119億円の売り越し。
5月は5週中、4週で売り越した。
ーーーーーーーーーーーーーーーー引用ここまで
(細かな数値が東証資料と違いますが、おおよその数値はあっています。
おそらく速報値か何かなのでしょう)
個人投資家の売りについて一切言及していないのに、
桁一つ少ない海外投資家の売りがめっちゃ取り上げられていますね!
このように、ニュースでは本当のことしか言ってなくても、
大事な事を言わないことで、
事実と全く違うイメージを植えつけることも可能なんです。
相場を分かりやすく解説してくれるニュースや新聞は有り難い存在なのですがね。
元の数値やチャートなど、重要なデータがネットで簡単に確認できるってのは、
個人投資家にとって良い世の中になりましたね。
話を戻しますが、信託銀行の+2,466億円が年金買いではないかと言われていますが、そうだとして、
(1)GPIF改革がらみで株へのシフトが始まった説
(2)単純に、相場が下落してポートフォリオの目標比率からの乖離が大きくなったので、
機械的に買いに回った説
のどちらなのかが分かりません。
6月第一週のデータを見れば判断できると思うので、東証のデータを要チェックですね。
また、GPIF改革で株の比率が高まるとした場合、どれだけの需要が発生するのかというと…
上記ブルームバーグの記事中で、
「国内の主な年金資金の運用資産状況は、GPIFが13年12月末現在で128兆5790億円」
と書いてあります。
ポートフォリオに株が占める割合を仮に3%上昇させるとすると、
株価が変わらないとした場合に、ざっくり4兆円の新規買いが発生します。
1週間で2500億円なら16週間(4ヶ月)かかりますが、
GPIF改革の目標11月20日までに達成するのにちょうどいいペースですね。
今の株価水準では個人投資家ぐらいしか売らないのですから、
この先、個人投資家の売りが収まれば株価の一段高も有り得そうです。
ちなみに、信託銀行(年金)は去年一年間で3.9兆円の株を売りっています。
海外投資家は去年一年間で14.7兆円の買い、個人は8.5兆の売りです。
海外投資家が売りに転じれば、年金買いの規模では太刀打ちできないでしょう。
リスクマネーがどう動くのか、年金以上に注意が必要かと思います。
2件のコメントがあります
1~2件 / 全2件
あさっての投資家さん、こんにちは~
> 急な資産移動はどうにも・・・
さすがあさってさんですね!
株式への比重を移して株高になる=メリット、という構図にみなさん気を取られていますが、
(1)無理な株価の持ち上げは、結局はいつか相場が盛大に反転するだけ
(2)株を買う代わりに国債を売る
という2点が、長期投資の視点からみた迷惑かも知れませんよね…
この先、日本の金融資産については、
よくも悪くも国債価格に大きく振り回されるようになるはずですので、
どういう戦略で望もうか思案しております!
> 急な資産移動はどうにも・・・
さすがあさってさんですね!
株式への比重を移して株高になる=メリット、という構図にみなさん気を取られていますが、
(1)無理な株価の持ち上げは、結局はいつか相場が盛大に反転するだけ
(2)株を買う代わりに国債を売る
という2点が、長期投資の視点からみた迷惑かも知れませんよね…
この先、日本の金融資産については、
よくも悪くも国債価格に大きく振り回されるようになるはずですので、
どういう戦略で望もうか思案しております!
株育男さん、こんばんは!
信託銀行(年金?)ずいぶんでかく動いていますね。
急な資産移動はどうにも・・・
積み立ての効果を考えて少しづつやって欲しいものです。
我々はGPIF改革で年金が動こうが、
外国人投資家が動こうが、しっかりと資産運用せねばなりませんね。
信託銀行(年金?)ずいぶんでかく動いていますね。
急な資産移動はどうにも・・・
積み立ての効果を考えて少しづつやって欲しいものです。
我々はGPIF改革で年金が動こうが、
外国人投資家が動こうが、しっかりと資産運用せねばなりませんね。