先週の日曜日のこと

nottyさん
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外は雨が降っている。
5月だというのに寒い日だ。
風邪をひいていた娘は、この一週間というもの外で遊ぶこともできず、
食欲もなく大好きな たらこスパゲッティや甘く煮たお豆も食べない。
しかし、ここにきて熱も下がり元気になってきた。

今日は久しぶりに我が家で休みだ。一日中家に居られる。
妻が掃除をしている間、娘と美容室ごっこをして遊んでいた。
すると、しばらく窓の外を見ていた娘が「あめ ふってるね」と言った。
「うん、降ってるね」
「みーちゃんねぇ おそとにいきたいの」
「でも雨だし寒いから、今日は家で遊ぼ」
「みーちゃん おそとにいきたいの」
「うーん・・・そうか。ママに訊いてくるから待ってて」

妻に「ねぇ、みーすけが外に行きたいって言うんだけど」と訊く。掃除機のスイッチを止めた妻が、
「うん。少しくらいならいいんじゃない。熱も下がったから、
 ちょっと行ってあげて。全然外で遊んでないし・・・寒いからコート着せてね」
「わかった。じゃあちょっと行ってくる」

俺が上着を探していると、娘はもう玄関でピンクの長グツをはいて
小さな赤いパラソルを持って待っていた。
「みーちゃんねぇ、こうえんにいくの」
「わかった。行こうね」

ドアを開けると結構寒い。しばらく雨の歩道を歩いた。
「美潮、静かだねぇ」
「しずかだね。あめのこえがきこえるね」
「え?ああ・・・・」

赤いパラソルに赤い帽子 空色のレインコートを着た もうすぐ4歳の
小さな体が雨の中でダンスを踊っている。
「どうした?」
「みーちゃんね、うれしいの」
「そうか、うれしいのか」

娘が言った。
「パパ、はっぱがぬれてるね」
「ほんとだ、濡れてるねぇ」
「パパ だっこして」
「うん」

葉の表面にいくつもの小さな雨粒がゆっくりと動いている。
「パパ おはな」
「あ、ほんとだ」
「なんていうおなまえ?」
「これはね チューリップだよ」
「おはなも さむいさむいっていってるね」
「お花は大丈夫なんだよ。水をいっぱい吸って、もっともっときれいになるんだ」

「・・・ブランコもぬれてるね」
「うん 濡れてるね」
「さむいさむいっていってるのかなぁ」
「うん ブランコさんは寒いかもしれないね」

そんなとりとめのない会話をいつまで続けただろう・・・
水たまりを見つけた娘は、そこへ傘を指さずに走っていった。
小さな足が水たまりの上でジャンプする。
それに応えて微かな水しぶきがあがり、小さく娘の笑い声が聞こえてくる。
俺はそんな娘の姿を見つめていた。

するとなんともいえない感情が、俺の心をツキーンと打った。
いったいこの感情はなんだろう。
きっと娘は、この午後の雨の時間に
いろんな匂いや肌に触れる風や空気を心に感じているのだろう。

すべての物に理屈はなく “感じる”ことの大切さをこの都会で生活していく中、
どうやって娘に伝えていこう。


振り返ると、いつ来たのか妻がそこに立っていた。







23件のコメントがあります
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nottyさん
ゆりっちん もう遅いよ〜既にみーすけは妄想の世界にたっぷり浸かってるぜ!

こんにちは

いい詩を有難う~♬~♪

のっち。。。。素敵な日記をありがとう。

みーちゃんの感性を大事に育てていってあげてくださいね。間違っても曲がった妄想ユリッチ族にならないように、まっすぐにね。
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