今年も最初から爺さんと喧嘩だ。大阪の八尾の人間でもないくせに、
人を呼ぶ時に『われ』と言う。あの言葉は、人を見下げたことばだ。そして
喧嘩する時に威嚇する時の言葉だ。ここの仕来たりは、いくら喧嘩をしても
家の仕事は最後まで遣らないけない。イヤイヤ僕は養子だから関係ないね。
それがさー、この町に来る養子はみんな真面目ばかり。ましてや60歳に成っても
愛し合っているからイヤダネー。そしたらその養子が
養子『これから僕らで田植え頑張りましょうや』
僕『イヤイヤ、爺さんが死んだらもう百姓止める』
養子『爺さんが死んだらそれからは自分勝手に出来るから楽しく遣ろうよ』
僕『バカな爺さんが死んだら、仕事Ⅰから10まで遣らないかん。今までは
2ぐらいしか仕事遣っていないのに無理無理。そして花とか草に話しかけたら
話しかけてくれる。そんな奴等とは百姓なんかできん。
俺は犬とミニ豚と話が出来たらイインダ。
そんな事よりアンタ、今も嫁さん愛しとんの』
養子『60に成っても今も愛していますよ。何時もどこへ行くのも一緒です。
オタクさんもそうですやろ』
僕『バカな、うち等は会えばののしり合いの喧嘩、何時もどちらか口から血が
出ているよ。一番心配な事は、俺の嫁と爺さんが仲良くなった場合、
俺を苛めに来るやろな』
養子『あそこの家は優しいから大丈夫』
僕『アンタは知らんから』