yuhsanさんのブログ

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14,000円を割らない理由(わけ)


早いもので、そろそろ3月も終わりです。この3ヶ月間、昨年の右肩上がりの相場が嘘のように、16,000円台から14,000円への、さえない相場が続いています。原因は、外国人売りに対して、日本人の現物買いが追いついていないからです。


外国人の指数売りについて行けないのは、先週にも触れた市場の構造問題にも、原因がありそうです。外国人の先物売りが、相場の転換点になった例は、90年の資産バブルのときや、08年のリーマンショックのときにも起こっています。いずれも指数を利用して相場を崩し、株価下落から景気を冷やし、その後の大不況の引き金となりました。


今回も、似たような経過をたどるのでしょうか。答えは「ノー」です。


理由は、14,000円という相場の位置にあります。この水準は、今年の安値であると同時に、3月期に想定されるEPS(1,000円程度)の14倍を切るところにあります。アベノミクス相場の出発点すら割り込む水準なのです。


私は前回、この水準を割り込まない理由として、内閣の支持率をあげました。今日は、日銀のETF買いとEPSとの関連からの説明です。


日経225を構成する全銘柄のEPSは、90年のバブル崩壊以降、600~1,000円のあいだを動いていて、これを何倍まで買うかによって、相場が変動しました。企業業績が向上するとEPSが上がり、それによって、さらに高い期待が生まれるため、高いPERまで買うようになります。


「そんなこといわれなくても、知っているわ! アホクサ」
「まあ、まあ、もう少し辛抱して聞いてくださいよ。これからが本番なんだから」


日本経済が向上し、企業業績が上がれば、1,000円を上回ってもよかったのでは……。なぜ超えられなかったのでしょうか?


デフレと少子化で経済のパイが増えなかったことも一因でしょうが、企業収益が向上し株価が上がってくると、株式分割や増資などで、1株利益を薄めようとする動きになるからです。それが、EPS1,000円の壁になっていました。


今回の上昇局面では、日銀は一貫して株価を買い支えています。正確には、白川総裁の時代から、市場からETFを購入し、その額は3兆円にも達し、東証の時価総額の1%に接近しています。


日銀が購入しているETFの構成銘柄は、日本を代表する優良企業です。最近では、手元資金が潤沢で、市場から資金を調達する必要がない上に、ユニクロやソフトバンクのように、高株価を維持するため、ひたすらEPSを増やす対策を取ってきているのです。日本の最高益企業のトヨタまでが、自社株買いでEPSを上げる政策を取り始めたのです。


大企業の株主の中には、ETFが信託銀行の名前で顔を出し、その4割程度は日銀の所有株のはずです。日銀による企業の一部国有化とも取れる動きになっています。


日銀が所有している限りは、浮動株を減らす効果はあっても、1株利益の向上には繋がりませんが、いずれは市場に放出されなければなりません。その際には、NTTやJTがやったように、自社株買いで対応すれば、その会社のEPSの向上となります。日銀から低金利で資金を借りれば、一石二鳥です。


日銀の保有株も将来の自社株買いと見れば、1,000円の壁は簡単に乗り越えられ、2~3年の間に1,200円も十分に狙える水準に達します。EPSを15倍に買ったとしても、18,000円は、無理のない水準といえます。


「今年中に可能かって?」

期待値ですから、市場参加者の多くが、EPSが1,200円になると期待すれば、今年中にでも達成されます。


以上が、日銀のETF買いとEPSとの関係で、これが日経平均14,000円を割り込まないと見る理由です。


ただ当面は、消費税引き上げによる企業業績の変化を見極めたいという中で、外国人売りを吸収するのは、日銀と自社株買いだけという需給は変わらないでしょう。4月中に、再度14,000円を試す動きも予想されますが、そこが二番底となります。5月以降は、来期の業績がはっきりしてくるにつれて、インフレで炙り出された個人資金が市場に参加し、株価は上昇に転ずるものと期待しています。


買い手が外国人から日本人に変われば、買われる銘柄も変わります。外国人は、指数を買いましたが、日本人は、業界や企業の動きをよく知っています。今年の株価は平均では大きく上がることはありませんが、業種、銘柄によっては昨年以上に差が開きます。ポートフォリオをこの際再検討し、指数に負けないようにしたいものです。


銘柄選択には、「政策に売り無し」というように、国策に合致したものを狙うのが筋です。
前提条件として、企業業績の向上と上値にシコリがないことで、スクリーニングを掛け、政策に合致したテーマ業種の中から、中小型株を選んでみてはいかがでしょうか。


円安、インフレ、公共投資、頭脳産業が、昨年の株価を上げてきましたが、昨年来相場がなかったという点で、これからのテーマ業種として、以下のようなものがあります。


①輸出企業 (円安でも一向に増えない輸出を伸ばさないと、悪い円安になります)広い意味で輸出に貢献する企業。自動車、電気機器、部品、電力、インフラ、鉄道車両などがソフトと一体にできる企業。


②エネルギー開発と輸入企業 天然ガス、石炭などの割安エネルギーの輸入商社。海外での開発事業を手がけている企業。


③海洋防衛産業 巡視船などの造船、海上、海中の資源調査、開発。


④中国からの輸入企業 (中国の元安で日本への輸入価格が安くなります)中国生産の国内消費財を扱っている企業。


今月のテーマの「株価は何で決まるの?」も、今日で終わりです。土日だけでしたが、長いあいだご覧いただきありがとうございました。




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