ちゃんと生きれば ちゃんと死ねる

元祖SHINSHINさん
元祖SHINSHINさん

(略)

──  頭で五十枚ってわかってても、加減がわからないんですよね。

 

Mr.K 加減がわかろうがわかるまいが五十枚。俺なんか最後の五十枚目の原稿用紙の最後の升に「。」      

    書いて、そこから書き始めたりしたもんだよ(笑)。ここより先は書けないんだから、一言も無   

    駄にすまいとね。でもそうやって文章を書いていくのは鍛錬ですよ。あなた方がこれから文章を 

    書くのかどうかは知らないけれど、そういう目で見ていくと、刈り込みができてる小説とそうじ  

    ゃない小説と見分けがついてくるから・・・・・・文学部じゃないんだよな?

 

──  文芸学科ですから、小説家を目指してる人が多いですね。

 

Mr.K それはがんばってくださいね。小説家なんてなるの簡単ですから。今新人賞なんていっぱいある   

   から。それとっちゃえば作家ですよ。でも、作家であり続ける、書き続けるってのは半端な努力    

   じゃ無理ですよ。まぁ、がんばってください。

 

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Mr.Kは、学生の頃になにげなく書いた作品の受けがよく、デビューしたものの、その後不調に。

それから書いてはボツ、書いてはボツを繰り返し、ボツ原稿は己の身長を超えたという。

驚いたことに、あの浅田次郎も最初はボツ原稿の山を築いたのだという。

(でも、何十年も経ってその作品をリメイクして恨みを晴らしたそうだ)

 

「文芸と言わず芸術というのはね、やはり遊びですよ。死を賭けた遊びと言ってもよい」

古川薫というベテラン作家の言葉も、心に響くものがある。

 

この書籍に出てくる作家はだれも魅力的で、知ってしまうとその作品に触れたくなってくる。

そういう文藝春秋の、これは戦略なのかも知れないなどと思いつつも、

この書籍はどうにもオモロイのであった。

 

★「作家の決断 ~人生を見極めた19人の証言~」

  阿刀田高編 文春新書 850円+税 2014.3.20.第一刷発行

  「ちゃんと生きればちゃんと死ねる」北方謙三 P.279~280より抜粋

  赤川次郎・浅田次郎・阿刀田高・大沢在昌・北方謙三・小池真理子・佐木隆三・瀬戸内寂聴

  高樹のぶ子・田辺聖子・筒井康隆・津本陽・夏樹静子・西木正明・藤田宣永・古川薫・森村誠一

  吉岡忍・渡辺淳一

 

今度スペイン酒場で、Mr.Kと同郷だというカッパ先生に会ったら、

この話を肴に、飲もう。

Mr.Kの書く「三国志」が、実は日本の皇国史観を反映したものだとは知らなかったな。

(「殺すぞ!」などと、電話が来たこともあるという逸話が・・・)

 

「死を賭けた遊び」たしかにこれに熱中すれば、ちゃんと死ねそうだ。

相場みたいでちょいと、シビれるんだけど。。

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