4月から消費税が5%から8%に上がりますが、増税幅以上の値上げに踏み切る業者が相次いでいます。そのワケとは?
安さを武器に急成長してきたヘアカット専門店のQBハウス。代名詞の「1000円カット」は創業以来で、17年前の増税の際も値上げを踏みとどまりました。しかし・・・。
「今回の価格改定は苦渋の決断だった」(キュービーネット 北野泰男社長)
来月の消費税増税に合わせて価格を1080円に変更。増税分の3%を上回る8%の値上げに踏み切るのです。その理由は?
「(スタイリストの)人数が減ってきている。一方で募集費用が昨年に比べて倍くらいかかってきている」(キュービーネット 北野泰男社長)
人件費の上昇に加え、増税に伴う券売機の改修などで「削れるコストがない」と訴えます。
「(値上げは)しょうがない。千円札1枚でよかったのに、80円出すのがちょっと面倒くさくなるぐらい」 (男性客)
こちらは、千葉県白井市が管理するテニスコート。利用料は現在、2時間380円ですが、市は4月から一気に5割引き上げます。
「(増税に)便乗して値上げされてるんじゃないかとも思う」
「ちょっと上げすぎという気はしますけどね」(利用者)
「光熱水費など値上がってきたので、たまたま消費税増税とタイミングが合った。今後も便乗値上げではないという部分をお知らせしていきたい」(白井市役所総務部財政課 渡辺久義課長)
相次ぐ大幅な値上げ。なぜこのタイミングなのか?専門家は・・・
「景気が良くなかったりする間は企業努力で費用を吸収してきた、その分を合わせて、せっかく値札を入れ替えるわけだしって」(BNPパリバ証券 中空麻奈投資調査本部長)
長引くデフレで値上げが難しい中、原料費やエネルギーの価格が上昇し、売り手側の負担はたまりにたまっています。それが今回、一気に吹き出る形で、専門家は、増税分に上乗せされる額は大まかに数千億円に上ると考えています。
「値上げするしかないという状況になってしまった」(三軒茶屋 アーモンド洋菓子店 米田幸介シェフ・パティシエ)
チョコレートや小麦粉など原材料のほとんどが値上がりしているという洋菓子店。5年以上価格を据え置いてきましたが、増税も加わり限界だと判断。平均で3%を上回る値上げを決断しました。ただ、便乗だと思われ、客足が遠のくのではないかと心配します。
「確かに怖いものはあります。半数の客は『値段じゃない、味だよ』と言ってくれる」(三軒茶屋 アーモンド洋菓子店 米田幸介シェフ・パティシエ)
「何も変わらなければ『便乗値上げ』と言われてもやむをえないが、スマートフォンで混雑状況を分かるような新しいサービスを導入したりしている。新たな一歩を踏み出さざるをえないかな、というふうに考えている」(キュービーネット 北野泰男社長)
便乗値上げと言われないようサービスの改善などの努力をする売り手側。この春の値上げは、消費者の財布だけでなく、売り手側にとっても厳しいものとなりそうです。