2/12(水)日経夕刊、文化欄。
佐伯一麦(さえきかずみ)という作家が書いていた。
以下は、その抜粋。
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私小説は自分の内面を暴くものという考え方があり、
ぼくも若い頃はそうしていたが、
いつしか疑問を抱いた。
そんなとき、私小説は他人を書くことなんだよ、と寺田さんに教えられた。
「私」を書くということは取り巻く人々を書き表すことだと。
そこから書き方が変わった。
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その左下では、丸山健二が書いていた。
「千日の瑠璃」という作品を22年ぶりに全面改定したという。
「直すのが面白い」のだという、彼の語りを聞いてオモロかった。
黒田夏子のような執念だ。
丸山健二の右側では、前野健太というシンガー・ソングライターが書いていた。
「ある日、飲み屋で酔ったスーツ姿の客が話しかけてきた。
『いろいろあるけどね、悩み、不安、最高だよね』などと哲学的なことを口走る。
詩人は街にいるのだなと思って、すぐにノートに書き留めた」
悩み・不安・最高というフレーズは、前野健太の歌詞になった。
詩人は街にいた。中原中也もそうだった。
けれど彼は酒癖が悪く、客が寄りつかなくなり、
骨董で有名だった青山が開いた飲み屋は潰れてしまったというが。
酒・文学・オモロイ。