腐れ縁のスナック門のママから絡まれて、一方的かつ理不尽な喧嘩となり出入り禁止になったあと、
同級生の経営している和風料理屋「漁火」に寄ってみると、
主人の加藤は言うのだった。
「そーいうときはなぁお前、気分を変えてキャバクラでも行くもんだ」
などと、持って生まれたダミ声で言うので、彼の行きつけの店を教えてもらった。
藤沢駅の北口から南口へ歩いてみると、
かねてからのオイラの行きつけの「スナック・カスタム」は日曜日のために休日であった。
そこで、加藤から聞いていたキャバクラへ足を運んでみると、
オイラと同じアタマのスタイルをした野郎がキャッチとして佇んでいたが、
オイラの前にむさ苦しい野郎どもが三人もたむろしていたので、
オイラはその店の入店を諦めた。
「じゃ、せっかくだから、自分で開拓してみよう」
そんなことを想いながら藤沢駅南口をフラフラしていると、
すぐにキャッチのお兄ちゃんに捕まった。
「ひと席○×円でどうですか~」
などと、オイラへ自信なさげに呟くと、はじめっから諦めていたのか通り過ぎていく兄ちゃん。
けれど、その兄ちゃんの様子に、好意を見抜いたオイラは呟いた。
まるで、北斗の拳に登場するラオウのような声で。
「おいおい、本当にそれっポッキリなんだろうな」
とかなんとか言っちゃって、オイラは兄ちゃんへ返事をしたのだった。
オイラは勤め帰りで、いかにもみすぼらしい格好をしていたせいか、
(実はいつものことなんだけど)
兄ちゃんはオイラの足下を伺うかのような雰囲気だった。
「ま、どーぞコチラへ・・・」
案内された店は、開店して1年ほどの綺麗なこじんまりとした店だった。
今日は日曜日だったので、女の子は二人しかいない。
30分交代で、それぞれがオイラに憑いた。
(あー、字が違うヨナこれ)
スナック門のママからはすっかり嫌われていた、
いつもと同じ話をしてやった。
けれどもそれは、バカ受けだった。
村上春樹と三浦しをんとデイヴィッド・ゴードンの小説を、営業してあげたも同然だ。
このようにして、歴史はヨル動くのであった・・・。
PS:これって「まほろ横町番外地」に出てくる、「クスリ屋のシンちゃん」そのものだろ?
しをんの洞察力は、侮れないよね~。。
PS2:新規形態のアイディアを提言してもみた。
それがヒットしたら、オイラはこの店のVIP扱いだぁぁああああ!