株、6年ぶり大発会安に漂う不安

悲観しすぎることはないけど
リスク要因をきちんと認識しておこうね。
そうすれば高値を掴まず、安値で拾えるようになる。


株、6年ぶり大発会安に漂う不安
新興国発の波乱に警戒感

2014年最初の取引となった6日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反落し、13年12月30日に比べ382円43銭安の1万5908円88銭となった。昨年末まで4年ぶりに9日続伸し約6年2カ月ぶりの高値を付けた反動で、利益確定目的の売りが膨らんだ。大発会での下落は08年以来6年ぶり。株式相場の先高観は依然として根強く、大幅高の反動との見方はなお多いが、思わぬ波乱への警戒も怠れない。

 日経平均が41年ぶりの上昇率、円相場が対ドルで34年ぶりの下落率と記録ずくめとなった13年から年が明けた最初の取引で日経平均は一時400円あまり下げた。昨年末までの9日続伸で1100円超上昇し、利益確定売りが出やすかったとは言え、下げ幅の大きさは正月気分を吹き飛ばすには十分だった。

 下げの背景として指摘されるのが、ヘッジファンドなど海外勢の利益確定売りだ。昨年12月24日時点でシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で、投機筋は円を対ドルでほぼ6年5カ月ぶりの高水準まで売り越した。「円売り・日経平均先物買い」の持ち高を膨らませていた投機筋が年明けでひとまず手じまったという。

 日本に先駆けて14年の取引が始まった欧米市場でも利益確定売りが優勢だ。米ダウ工業株30種平均は前週末3日は小幅に反発したが、機関投資家の多くが運用指標に据えるS&P500種株価指数やハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。先進国主導の株高となった13年の反動が広がっている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は、連休中にトルコやインドネシアで進んだ通貨安に着目。「米長期金利が3%を大幅に上回れば、新興国から資金流出が加速しかねない」と警戒する。米連邦準備理事会(FRB)は今月から量的金融緩和の縮小に着手する。緩和マネーの縮小が、再び新興国経済を揺るがすとの懸念は根強い。

 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストも「新興国の政治的なリスクや経常赤字などが緩和マネーで覆い隠されていた」と指摘する。米量的緩和の縮小に加え、米景気回復への期待から投資資金が米国に向かいやすくなったことも新興国からの資金流出の火種になると警戒する。

 10日発表の13年12月の米雇用統計は、市場予想では非農業部門の雇用者数の増加幅が19万1000人程度とみられている。前月の20万3000人を下回る見込みだが、米サプライマネジメント協会(ISM)が2日に発表した製造業景況感指数では内訳の「雇用」が56.9と11年11月以来の高水準に上昇した。非農業部門の雇用者数の増加幅が市場予想を上回り、米雇用の回復ペースが加速しているとの見方を誘えば、米長期金利が急上昇しかねない。

 大発会で日経平均が下げたのは、2000年以降では01年と08年に続き3回目。01年はIT(情報技術)バブルの崩壊、08年はリーマン・ショックで日経平均は年間でそれぞれ3243円、6448円下げた。日銀の量的・質的緩和や国内の景気回復の持続で円安と株高が続くとの市場参加者の強気の見方に変化はないが、大発会の株安というジンクスが投資家心理に陰を広げつつある。新興国発の波乱はないのか、年初から一抹の不安が漂ってきた。

<日経電子版より>
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