日銀、来月にも成長基盤強化の資金供給1兆円拡大を検討

日銀が成長基盤強化の資金供給拡大を検討、1兆円が柱-早ければ1月

日本銀行は来年3月末に期限が来る「成長基盤強化を支援するための資金供給」を1-2年間延長し、供給枠を拡大することを検討する。増額規模は1兆円が柱。併せて、「貸出増加を支援するための資金供給」と「被災地金融機関を支援するための資金供給」の延長も検討する。早ければ来年1月の金融政策決定会合で決める。関係者への取材で明らかになった。

同資金供給は「本則」と「特則」を合わせ、貸し付け残高の上限は5.5兆円。本則以外は上限まで余裕があるが、本則の貸し付け残高は11月時点で3.3兆円とほぼ上限(3.5兆円)いっぱい利用されている。このため、1月に開かれる定例支店長会議などで、地方の金融機関の需要などを確認した上で、貸し付け残高の上限引き上げを検討する。

政府・日銀は今年1月に「共同声明」を発表。日銀が2%の物価安定目標を掲げる一方、安倍政権は「日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取り組みを具体化し、これを強力に推進する」と表明し、金融、財政政策と成長戦略の「3本の矢」から成るアベノミクスを開始。日銀は異次元緩和で物価目標を目指し政府の成長戦略を側面支援している。

本則の資金供給は2010年6月に開始。貸し付け残高の上限は当初3兆円だったが、12年3月に期限を2年延長するとともに、3.5兆円に拡大した。

さらに、11年6月には出資や動産・債権担保融資(ABL)などを対象とした資金供給(ABL特則)枠を5000億円導入。12年春に本則が対象としない小口投融資に5000億円(小口特則)、外貨建て投融資を対象にドル資金貸付枠1兆円(米ドル特則)を相次ぎ設定した。

貸出増加支援は5兆円どまり

日銀は「成長基盤強化」の目的以外でも資金供給を強化。12年12月には、外国銀行の在日支店を含む預金取り扱い金融機関を対象に、貸出増加額の範囲で無制限に資金供給を行う「貸出増加を支援するための資金供給」を導入した。

成長基盤強化を含め、金利はいずれも円での貸し付けが0.1%、ドルでの貸し付けがドルLIBOR6カ月物で、借り換えを含め最長4年の資金供給を受けられる。期限はいずれも来年3月末。

同資金供給の導入を決定した昨年12月20日の金融政策決定会合後の日銀声明文は、「貸出増加」支援による供給額が「15兆円を上回ると想定できる」と表明した。しかし、四半期に1度、計5回予定している資金供給のうち、3回を終えた現時点の貸し付け総額は約5兆円にとどまる。

一方、日銀は11年3月の東日本大震災の発生を受けて、同年4月に金利0.1%、貸し付け期間1年、総額1兆円の「被災地金融機関を支援するための資金供給」を導入。来年4月末に期限が到来する。

日銀は現在、「成長基盤強化」と「貸出増加」支援の資金供給を合わせて「貸出支援基金」と総称。いずれも白川方明前総裁の下で導入されたものだが、4月に異次元緩和を導入した黒田東彦総裁は8月、米ジャクソンホールで行った講演で「成長性の高い企業や事業分野の資金需要の発掘に向けた金融機関の取り組みを促進することを狙いとしている」として、積極的に評価した。

<ブルームバーグより>
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