バラの会さんのブログ

最新一覧へ

« 前へ164件目 / 全667件次へ »
ブログ

なぜクックパッドの営業利益率は50%なのか

なぜクックパッドの営業利益率は50%なのか

 

 

 クックパッドは国内最大のレシピサイトを運営する企業だ。サイトの会員はレシピを投稿したり、掲載されたレシピを検索、閲覧することができる。月の利用者数は約3200万人。

 

 そのうち、レシピを人気順に表示できる有料会員(月額294円)は100万人ほど。近年、急成長を遂げているが、特筆すべきはその高い利益率だ。

 

 2011年4月期の売上高営業利益率は49.8%、12年4月期は49.3%、13年4月期は53.1%。上場企業の営業利益率の平均値は4~5%である。

 

 

なぜ、これほど高利益率なのか。3つの要因が考えられる。

 

 1つ目は、「限界利益率の高さ」だ。限界利益とは、売上高から原材料費などの変動費を引いたもの。いちよし経済研究所の納博司主席研究員は解説する。

 

 「同社のサービスの中心はウェブサイトの運営なので、基本的に仕入れが発生しません。よって変動費はほぼゼロといえるでしょう」

 

 納氏によると、ネット関連企業の場合、アマゾン・ドット・コムのように仕入れが必要なeコマース企業を除き、限界利益率は100%近くになることが多いという。

 

「クックパッドは、クレジットカード会社や携帯電話会社を通じて有料会員から代金を回収していま

す。そこへの手数料が5%ほど。限界利益率は、手数料をのぞいた95%程度だと考えられます」

 
■販促費をかけず「口コミ」で会員増

 

 2つ目の要因は「会員事業の高収益性」。同社の事業は、有料会員から料金を徴収する「会員事業」、食品会社と共同してサイト上でレシピコンテストなどを行う「マーケティング支援事業」、バナー広告などを販売する「広告事業」の3つに分けられる。そのうち会員事業が売り上げ全体に占める割合は約60%。これがドル箱であると納氏は指摘する。

 

「固定費として人件費、システム関連費などが発生しますが、これらは会員数に比例して増えるわけではありません。サーバー性能の向上など、技術の進展により、同じ処理を行ったときにかかるシステム費は年々下がっています。つまり、会員数が増えて売り上げが伸びるほど、固定費の割合は減り、利益率が押し上げられるのです」

 

 納氏の試算によると、会員事業の営業利益率は実に88%にも上る。費用は、前述の変動費が5%、固定費が7%程度という内訳だ。しかも、さらなる有料会員数の伸びが期待できるという。

 

「スマートフォンが普及すれば、PCを使わないユーザーをよりとりこみやすくなります。利用者数の10%くらいまでは有料会員を増やす余地があると思います」

 

 3つ目の要因として、「低いプロモーション費用」が挙げられる。クックパッド経営管理部の丸山祐子氏はこう説明する。

 

 「当社はこれまで、テレビCMやアフィリエイトをほとんど実施したことがありません。背景にはサービスを充実させることが先決だという考えがあります」

 

 クックパッドの人気サービスのひとつに「つくれぽ」がある。投稿されたレシピを見て料理をつくった会員が、その結果を写真とともに投稿できる機能で、投稿せずに「つくれぽ」を閲覧することも可能だ。

 

 会員は投稿されたレシピが本当においしくつくれるのか、難易度はどれくらいかなどといった情報を事前に確かめられる。

 

 「会員の退会率は3%程度と非常に低い水準です。使いやすいサービスを追求してきた結果、口コミによって会員数を伸ばすことができたと考えています」(丸山氏)

 

 クックパッドは2011年、国内企業で唯一、米フェイスブックのパートナーサイトに選ばれた。今後は国内だけでなく海外展開を視野に入れ、「5年以内に海外で国内を上回る売り上げを目指す」と強気の目標を掲げている。

 

 

コメントを書く
コメントを投稿するには、ログイン(無料会員登録)が必要です。