保存から破棄にいたるまで、各種データの取り扱いは実に厄介でめんどくさい。そうした問題を解決しようと、いま、“消える”サービスが人気を呼んでいる。
このところ、IT関連で便利な“消える”サービスが増えている。まず、「投稿されたデータは自動的に消滅する」という特徴を持つのは、リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区)の研究開発部門であるメディアテクノロジーラボが、今年9月にリリースしたスマートフォン用無料メッセージ交換アプリ「See
Saw(シーソー)」だ。同アプリを起動させて撮影した写真や動画を送れば、受信者の閲覧時間は最大で8秒、その後は送・受信者どちらの端末からも消去されてしまう。
また閲覧も、同じアプリを使う者同士のいわば関係者のみで、ツイッターのように不特定多数ではない。ソーシャルネットワークサービスなどを利用して、一度インターネット上にアップしたデータは、本人の意思とは別に勝手に一人歩きすることもある現代、仲間うちだけにさまざまな画像を送り合うコミュニケーション・ツールとして、消える機能のあるシーソーは、うってつけかもしれない。
また、遺品となったITツールも“お焚き上げ”を活用して整理する時代が到来したようだ。一般社団法人
遺品整理士認定協会(北海道千歳市)では、11月に「MISお焚き上げステーション」を開設した。
故人が残したITツールには個人情報を含め各種データが詰まっている上に、遺族にしてみれば故人が生前愛用していた品。従来の業者任せの処分には、セキュリティと供養の両面においてためらわれるケースが少なくなかった。
そこで同協会が、ハードディスクなどデータが保存されている基盤の完全破壊とお焚き上げをセットにすることで、遺品整理の問題点を一気に解決と乗り出した。費用は携帯電話・スマートフォンで1台500円、ノート型パソコン1台2,000円ほか。
なおITツールは、お焚き上げ後も一時保管される。これは完全破壊後も一定の時間内であれば、データを復旧させることが可能との説に基づく措置だそうだ。
やってしまったら後の祭り、取り消すことができない電子メールの誤送信も頭の痛い問題だ。そのため電子メールが消せないならその元を断てと、電子メール送信前に発信者にチェック作業を行わせるソフトを導入する企業が増えている。
保存したい一方で、消去したいデータも多い昨今、消える、処分する、ミスの元をなくすといった類のサービスには、何かとお世話になる機会も増えそうだ。