ゲノム配列1000人分解読
新たな創薬、医療に光 東北大
東日本大震災で被災した住民の全遺伝情報(ゲノム)のデータベース化を進める「東北大東北メディカル・メガバンク機構」は29日、宮城県内に住む1000人分のゲノム配列解読を終えたと発表した。
単独施設が全て同じ方式で、日本人のみの均質な集団を大きい規模で解読したのは世界初だという。
本年度から10年間、岩手、宮城両県で計15万人対象の長期健康調査(コホート)を実施。得られた遺伝情報を解析し、データベースや血液などの生体材料を保管するバイオバンクをつくる。
今回協力が得られた1000人は宮城県石巻、登米両市などで健康調査に参加し、健康が確かめられた宮城県内在住者。
解析の結果、遺伝子やDNA配列が通常と異なる「遺伝子多型」が新たに約1500万個見つかった。
遺伝子多型は疾患のかかりやすさや薬の効き具合に関係する。新たな遺伝子多型の99%は出現率が0.5%以下と非常にまれで、疾病に関連する変異が含まれる可能性が大きい。
メガバンクは今後も解読数を増やし、来年度には日本人の遺伝子配列変異と出現割合を検索できるデータベースを公開する計画。
解析責任者の安田純教授(分子腫瘍学)は「データベースの公開によって日本人のゲノムの特徴解明が進み、遺伝情報に基づく創薬や個人に応じた医療、予防策が進むと期待する」と話した。