株式格言
いのち金には手をつけるな
- 株式投資をするには、資金にゆとりが必要である。思惑がはずれて、損すると困るような資金を投資するなという教訓である。とくに投機的な売買に乗り出すと失敗して取り返しがつかないことになる。
相場のカネとタコの糸は出し切るな
- 全財産を株式投資に投入したとしよう。下がれば、資金に余裕がないから、買い平均値を安くするためのナンピン買いさえできないことになる。この格言は、そのあたりを警告しているのであるが、そんなことをする投資家はいないだろうと思うのは間違いである。一攫千金を夢見て、集中投資をする人はいる。儲かっているので、調子に乗って買い増しするといけない、という意味もある。
利乗せは最後にやられる
- 深追いは禁物、欲張るなという意味である。資金に余裕があるからといって下値で買い増して、さらに儲けを大きくしようと狙えば、えてして裏目に出る。こうした場合、少し下がっただけでも、儲けが消えて、下手すれば損になる。信用取引の場合は、とくに注意すべき格言で、買い増しには、その銘柄だけでなく、相場全体が天井圏にあるか、ないかを注意すること。
株式と結婚するな
眠られぬほど、株を持つな
- これまた、株式投資をするには資金に余裕を、と説いている格言である。とくに、まず小さく仕掛けよ、ということでもある。なぜか。株式投資の成功率は、いうほど確率が高くないからである。
売り買いを一度にするは無分別、二度に買うべし、二度に売るべし
- 株を買う前には、誰でも、その銘柄の値動きを見る。たとえば、底値圏にきたと判断して買った、としよう。ところが、さらに下値があった場合、どうするか。ナンピン買いしておくと、報われるケースがある。そこで、投資を予定している株数の半分だけを買って、その後の成り行さを見よ、と教えているわけである。逆に、値上がりする気配なら、買い乗せできる資金とチャンスもある。売るときも、同じこと。もっとも、資金が豊富なら、三度でも、四度にでも、分けてよいことはいうまでもない。分散投資も考えるべきだろう。
文殊でも備えの立たぬ商いは、高下の変あれば破るる
- 知恵深い文殊善薩でも、思惑はずれに備えて、資金的な余裕を持っていなければ、もろいということ。備えあれば憂いなし、というわけである。
目先観で投資するな
- 株式投資で、二、三度成功するなど、経験を積んでくると、味をしめて、目先観で、相場を張る。が、目先の損得にこだわっていては、失敗することが多い。
決して相場巧者となるな、まして場面巧者となるな
- カンと経験に頼り、相場のアヤでかせぐのでは、大きな利が得られない。しかも、売ったり、買ったりと回転売買をするのは、ケガのモトとさとしている格言である。
三割高下に向かえ
- 投資家は、株価が上がれば下がるほど、手放したくない心理になる。逆に、下げ相場の時は、恐くてなかなか買いにくいのが真実。そこで、通常、その株が位置していたところから、三割上がったら利食い売りをしなさい、三割下がったら買ってもよい、という日安を示した格言である。経験的に三割上下が相場の転機と見ているわけで、迷いやすい投資家へのアドバイスある。
利食い千人力
- 株は、買うときと同じように、売るタイミングもむずかしい。これは、利食いは千人の味方を得たのと同じ、という有名な格言である。
利食い八分
売り買いは腹八分
- どんなに株式投資の経験のある人でも、大天井や大底を知るのは、あとになってからである。中には、当たる人もあるだろう。しかし、相場は暴騰すれぱ暴落があり、また、その反対もある。やっばり、あの値で売っておけば…は、もう遅い。買いには資産のすべてを投じることなく、ほどほどに、という意味あいも込められている。
パラを切る如く売るべし
- 誰でも、パッと開き切ったバラをもらっても、美しいとは思うが、すぐにしおれるので、そんなに喜ばないだろう。むしろ、八分咲きぐらいのところで思い切って枝を切るのが、惜しい気もするけれど、楽しめる。株も、八分目ぐらいで利食いして、実現益を手中にすることが腎明であるという意味。
アタマとシッポはくれてやれ
- 投資家の心理としては、最安値で買い、最高値で売りたい、の一語につきる。とにかく、アタマからシッポまで食べてしまいたい。が、そんな欲張ったことは考えずに、売ったあとに買った人も食べるところがあるように、魚にたとえて、頭と尾の部分ぐらいは残して思い切れ、ということ。天井で売ろうなどと考えていると、失敗する。株式投資のむずかしさを、さりげなく表現している名言である。
名人、天井売らず底買わず
- 十分な経験を積んだ人でも、最高値、最安値を的中させることはでさない。むしろ、天井で売ろうなどと思っていると利食いのチャンスを逃す。底値で買おうと思っていると、投資のチャンスを逃がす。そんなことを考えるよりも「名人」のするとおり、天井では売れない、底値では買えない、と割り切って投資すること、という格言である。
強気も弱気も株で儲けることができる。しかし、欲張りはダメだ
- アメリカでは強気をブル(牛)、弱気をベア(熊)という。どちらでも報われるが、どん欲なホッグ(豚)は、めまぐるしく動いて小手先で投資したり、深追いし、一分の得にはならない。
利食い急ぐな、損急げ
- 上げ相場の場合には、あわてて利食いする必要はない。一時的に下がっても、儲け幅が多少減ることぐらいですむ。しかし、損をしているのに、投げるチャンスを失うと、損はかさむばかりになる、という意味である。
売りは早かれ、買いは遅かれ
- 上げ相場は、天井圏に入ると、ぐんと急上昇するケースが多い。その後にくるのが、鋭角的な下げである。だから、実現益を手にできるよう、早めに利食いすべきである。が、天井圏に入るまではジリジリと上昇する相場が多いので、買いはじっくり研究してから、というわけである。
いつとても買い落城の弱峠、恐いところを買うが極意ぞ
一運、二金、三度胸
- ここが上昇の転機と見たら、びくびくせずに、勇気を持って買いなさい、という格言である。大幅に下げ、買い場と思っても、不安材料があればなかなか買えないものである。
猟師は潮を見る
- 漁師は、気象と潮の流れを見て、漁場を探るといわれるが、株式投資も、相場の流れを見て波に乗らねばならない。潮時を間違えると、損をする。
売買の時期は、売買の銘柄より大切
株を買うより時を買え、相場に大事なのは値段でなく、時
- 株式投資は、銘柄選びも大切であるが、気をつけねばならないのは、売買のタイミングである。相場の流れをつかんで、できるだけ安値で投資しなければならない。どんな良い銘柄でも、買い時を誤って、天井圏で買うと、利が乗らないどころか、損をすることがある。また、株は買った瞬間から、上か下へ動き出すということを知っておくべきである。
待ちて逃がすはよし、いら立ちて損するなかれ
売り買いは三日待て
- 投資のタイミングをとらえ、あせるな、という意味である。じっくり研究せずに、あせると損をする。株式市場は逃げていかない。
相場の器用貧乏
- 小耳にはさんだ情報や相場のアヤを見て器用に売買しても、儲けは少ないし、損をすることが多い
早耳の耳だおれ
- 株価には反応しない情報もある。とにかく、情報量は多いが、早く察知した人が相場で成功しているかというと、必ずしもそうでない。市場の情報は、その会社に確かめてみるぐらいの慎重さが要求される。
筋の耳打ちは信額するな
- 「あなたにだけ教える」といった情報通の話に乗るな、というウォール街の格言。何が株価を上げる材料か、常日ごろの研究こそが、大切であるということ。
必ずしも市場にいる必要はない
- 証券会社の店頭にくと、一日中、株価表のボードを見ながら値動さを追っている人がいる。しかし、そのような人は、目先の値動きが気になり過ざたり、情報に惑わされて、株の売買の回数が多くなって、かえって思わぬ損をすることがある。これは、ウォール街の格言であるが、むしろ大切なのは、情報の多少よりも、材料の株価反応の度合いを知る知識と分析力を養うことである。
卵が生まれるまで卵を買うな
- この鶏はもうすぐ卵を生むが、いまのうちに、その卵を買いませんかといわれても、買う人はいないはずである。目先の情報だけに頼って、株を買うな、という格言である。しかし、株の世界では、そんな卵を買う投資家がたくさんいる。
小回り三月、大回り三年
- 相場の動きにはサイクルがあるということ。三月は昔の信用取引の決済期間に相当するわけであるが、現在では、これを六月と読み替えたほうがいいかもしれない。大回り三年は、景気循環とマッチするとの説があるが、どうか。いずれにせよ、相場には流れ、サィクルがあるということを指摘しているわけである。
天井三日、底百日
- 相場が高値にある期間は短いが、底値の期間は、はるかに長いという経験を表わした格言。相場は、ナベ底をはっているような期間が長いが、上昇に転じたのちは、ジリジリと水準を切り上げて、天井圏に入ると、急騰する習件がある。そして、天井は三角形の頂点のような鋭角を形成している。そのあとはストンと下がり、底値をはう期間が長く、三角形の底辺を形成するケースが多い。
登り百日、下げ十日
- これは、相場が下降局両に入りたら、その下げ足は速い、ということを表わしている。上げ相場は、物色買い人気と利食い売りの繰り返しの中で、ジリジリと水準を切り上げていくため上げるためには時間が掛かる。そして天井に入ると大商いになり、人気も熱を帯びてくるが、相場が伸び切ったところには、信用取引の買いが残っている。つまり、やがては手じまい売りをしなければならない「売り予備軍」をかかえていることになるので、不測の悪材料があると、鋭角的に下げるケースが多い。つまり下げ十日である。
山高ければ谷深し
- 相場は暴騰することもあるが、つねに反落する危険もはらんでいる。しかも、上げ相場が高ければ高いはど、下げ幅もきついことを示す格言。
株価はもとの古巣にかえる
株価の里帰り
- 全体相場にサイクルがあるように、個別銘柄の動きにもサイクルがあり、いつかは過去の株価に戻るケースが多いということをいった格言。
知ったらしまい
- 増配の決算が発表されたと企業の業績が好転してきては、もう織り込みずみとなる。株価は業績が好転しつつあるらしいという段階で、先買いされるからである。
二日新甫(しんぽ)は荒れる
- 月初めの立会が、一日が休みで二日から始まると、その月の相場は荒れるというジンクス。
売れば二上がり、買いや三下がり、切ってしまえば本調子
- 二上がり、三下がり、本調子は三味線用語。三味線の調子に合わせて、相場の皮肉をついた格言。相場は、個人の思うままにならない。持ち株を手放すと上がるし、買うと下がる。しばらく手を休めていると、相場らしい相場展開になるということ。
休むも相場
- 株式投資も、休むことが大切だと説いた格言。相場には、上げか下げか、判断に迷うことがしばしばある。そんなときは、少し次の相場展開を待てばよい。また、冷静に場面、場面に対処していかねばならない。そうした投資態度は、適当に体むという気待ちがあるからこそ維持できるわけで、常に売ったり、買ったり、回転売買をしていると、失敗する。
休むほど相場の極意ほかになし
- ちょっと当たれば、買い進んで、体むことを知らずに、ついつい深追いすることが多い。しかし、手を休めることが、最上の策である場合もあるということ。
損して休むは上の上
- 損をしたあと、なんとか取り返そうという気持ちになるのは勝負事と同じであろう。ついあせって、他の株を仕掛けることになるが、こんなときこそ、落ち着いた態度が求められる。自信があろうとなかろうと、取り返したい一心になったときは、はやる心を抑えねばならない。買うチャンスはいつでもあるよということ。
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