バラの会さんのブログ

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1から学ぶETF

 『1から学ぶETF!』
 

 

 

日本の10年、米国の20

 実はまだまだ歴史の短いETF(Exchange Traded Fund=上場投資信託)です。“選(E)んで楽(T)しいファンド”なんて番組では面白く紹介していましたが、これはなかなか的確な表現です。ETFは銘柄とタイミングを選ぶことが命。まずはここまでの成長の軌跡を振り返ってみましょう。

 

 日本のETFは10年と少しの歴史です。聞くところによると90年代後半に実験的に一つ日経300に連動したものが上場されたらしいのですが、データが残っているのは2001年7月から。以来、残高はピーク時6兆円まで増えたのですが、リーマンショック後には2兆円まで減少。これが現在再び3.5兆円程度まで回復したといいますから、先週お伝えしたJ-REITと同じような規模です。

 

 一方、本家の米国では20年の歴史。こちらは残高を順調に増やし、規模的には取引所時価総額の10%程度となっていますから、市場を動かす有力なグループとして認知されています。同時に、品数が豊富。日本の場合、東証時価総額が250兆円ですから、米国に追い付けばETFの市場規模は今の7~8倍まで膨れ上がることになります。

 

 

成長を牽引する多様性 

 実は私も現在これほど多くの種類のETFが上場されているとは知りませんでした。特にこれまで流動性の問題があるからと敬遠されてきた小型株とか、新興国投資の分野で近年めざましい発展があることは驚きです。

 

 とりわけ分配金を重視した商品は、金利が低すぎる世の中ですから、信託報酬が安く分散投資できることは大いに魅力です。REITなども5%程度の配当金を、ETFなら分散効果を保ちながら、ほぼそっくりそのまま受け取れることは、投資家全員が知っておいた方が良い事実です。

 

 ここでもう一度、ETF/ETNの投資メリットについておさらいしておきましょう。

 

 少額で分散投資が可能なこと、低いコストで資産保有が可能なこと、何より投資信託と異なりリアルタイムで売買が可能なことが、ETFの魅力です(投資信託は一日一回計算される基準価額での売買となります)。

 

 尚、ETN(Exchange Traded Note=債券)については運用会社=発行体ですから、所謂、信用リスクが発生します。しかしETFは、前々回の金の特集の際にも説明したように、裏付けとなる現物資産を保有し、その資産は信託銀行に保管されているため、たとえETFの組成会社が破綻しても投資家が投資した資産は保全されます。これもETFならではの魅力の一つです。

 

注目のETF(1)-ブル・ベアETF

 さて今回取りあげたブル・ベアETFとは、ブル=強気、ベア=弱気、の意味のファンドであり、簡単に言えば、買いのファンドと売りのファンドと考えてもらえばよいでしょう。その中でもブル2倍型とは、対象となる指数が1%上がった時に基準価額が2%上がる仕組みとなっているファンドのことで、最近のように小さな上下動を繰り返す局面が続く中では、効果的にキャピタルゲイン(売買収益)を狙えるファンドと言えます。

 

 

 そのあたりのところを投資家はよく知っていて、統計を見ると、ブル型のファンドはTOPIXが下がると買い、つまり設定が増え、TOPIXが上がると売り、つまり解約が増えるという、傾向がデータから観測されています。

 

 その一方で、ベア型はTOPIXの動きと全く関係のない売買代金となっており、これまた意味するところは深い。何故なら下落相場の発生は、大概において乱数的に発生しており、TOPIXと何らかの相関・逆相関を持つことは、むしろ逆効果となってしまうからです。

 

実質利回りが高いETF

 次に利回りの面からETFを見てみましょう。大事なことは、単に配当利回りが高いことが期待されるだけでなく、ファンドを保有することで発生するコスト(=信託報酬)が低く抑えられていることで、実質利回りが高くなるというメリットです。例えば、配当利回りが5%のファンドの場合、信託報酬が0.2%であれば、実質配当利回りは4.8%となりますが、これが1.5%もあれば実質配当利回りは3.5%まで低下してしまいます。このあたりのところは、金融商品をひとつひとつ見比べてちゃんと計算しなければなりません。

 

マーケット・メーカーの存在

 当然のことながらリスクはありますが、投資家保護の観点からETFはかなり優遇されています。その一番のポイントが、マーケット・メーカーと呼ばれる指定証券会社の存在であり、いつでも売買できるように、ETFの場合、投資家が買いに行けば売ってくれる、売りに行けば買ってくれる、反対売買にお

維持てくれるマーケット・メーカーと呼ばれる指定証券会社が常に存在し、市場における流動性を確保してくれています。

 

 また、現物株式と異なり、一定の売買代金や、時価総額が減少したからといって、上場廃止になるリスクはありません。表には書きましたが、上場廃止のリスクは、運用会社が自ら決める(つまりは採算に合わないからと運用をやめてしまう)だけのことですから、ある程度の投資家の人気が継続する限り、ETFは存続されることになります。

 

開示情報は積極的に利用しよう 

 昔と異なり、今な何もかもが情報開示の時代です。プロだけが優遇され、アマには何も情報が入ってこない、などといった事実はどこにもありません。ETF/ETNの場合、東京証券取引所が自らホーム・ページ上で、様々な角度から情報を開示し、適切なアドバイスを送ってくれています。これを利用しない手はありません。

<了>

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