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備忘録/月別リターンと過去10年分の日経平均価格帯別売買代金

逆風の9月、世界の金融・資本市場に波乱の足音
編集委員 前田昌孝


こんななかで、東京株式相場は年間でも最もリターンを期待しにくい9月を迎えつつある。表は日経平均株価
連動する株式に投資することを前提に、1年のうち1カ月だけ投資を休んですべて現金にしていたら、運用成績がどうなっていたかを、投資期間別に示したもの
だ。まったく休まない、つまり、ずっと投資し続けた場合の騰落倍率は最左列に示している。昨年8月末から今年8月19日までの約1年間ならば1.56倍、
3年間ならば1.56倍、5年間ならば1.05倍という具合に、60年間の投資まで試算した。

 例えば、最左列の休みなしの列と、す
ぐ右隣の1月の列とを比較してみよう。60年の行を横に見ると、休みなしの列は33.6倍、1月の列は9.55倍になっている。1953年8月末から
2013年8月19日まで、60年間の投資を休みなく続けていれば日経平均連動株の株価は33.6倍(配当を除く、以下同じ)になったが、毎年1月は投資
を休み、持ち株を全部現金に換えていたとすると、9.55倍にしかならなかったというわけだ。つまり、毎年1月に休んだ投資家はもうけ損なったことがわか
る。

 ところが、毎年9月に必ず休みながら60年間の投資をした場合には、最初の投資額を57.72倍に膨らますことができた。つまり、9
月は株価が下落していたことが多いから、休んだほうが賢明だったことがわかる。ほかにも20年以上にわたる長期の投資を前提にするのならば、5月、7月、
8月、9月、10月は株式を現金に換えていたほうが良かった。

実際にはこんな月ごとにスイッチを入れたり切ったりするような投資は不可能だろうが、なぜか統計的に9月と10月は逆風になりがち。7月31日付本欄(「日経平均の価格帯別の売買代金を過去10年分)でも示したとおり、1971年以降の42年間の平均で、9月は1年のなかで最も円高・株安が進みやすく、10月も円高・小幅株安になっていた。



それにしても日経平均は現在、株高基調を維持できるか、意外な弱さを見せるかの微妙な位置にいる。日経平均の価格帯別の売買代金を過去10年分、振り返る
と、1万3000円台には若干の膨らみがあるが、1万2000円台と1万4000円台は真空地帯だ。海外株安などに押されて下げ始めると、1万2000円
台で止まらない恐れもある。今の国内景気を支えているのが、資産効果を実感している中高年富裕層の積極的な消費活動だとしても、その前提となる株高の構図が崩れたら、消費税率の引き上げにも逆風となろう。

 結局、消費税率の引き上げを決めると同時に、5兆円規模の補正予算を組み、さらに日銀がもう一段の金融緩和策を講じることになるのかもしれない。世界の金融・資本市場に大波乱がないことを前提に……。



日経より引用

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