9日終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対して上昇。
最近の売りは行き過ぎだったとの見方や、来週発表される指標が米経済の改善を示唆する可能性があるとの観測が支援材料となった。
前週末2日に発表された7月の雇用統計を受けて米連邦準備理事会(FRB)が9月にも量的緩和縮小に着手するとの観測が後退したことで、ドルはこのところ主要通貨に対し下落が続いていたが、この日は一部市場関係者の間で、金融緩和の縮小ではFRBが他の主要中銀に先行する公算が依然として大きいことを踏まえると、最近のドル安は行き過ぎとの見方が広がった。
また、来週発表される米経済指標では小売売上高の増加や消費者物価指数(CPI)の上昇が予想されており、向こう数カ月間の緩和縮小観測を強める可能性がある。
フォレックス・ドットコムの通貨ストラテジスト、クリス・テベア氏は、一部の指標は予想をやや上回る可能性があるとの見方を示した。
主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.2%高の81.124。前日は一時、6月19日以来の低水準となる80.868をつけていた。
ユーロ/ドルは0.3%安の1.3343ドル。
ドルは対円では0.5%安の96.23円となった。
ロイター調査によると、市場では少なくとも向こう1年にわたり円安が続くとみられており、目先の下げ幅はFRBの緩和縮小開始時期の予想に左右される見通しだ。
通貨ストラテジストを対象に7─9日に実施した調査では、1カ月後のドル/円水準が98.5円、3カ月後は102円、1年後は107円と予想されている。
ドルは対豪ドルでも下落した。豪ドルは、オーストラリア最大の輸出先である中国が発表した7月の鉱工業生産が前年比9.7%増と市場予想を上回ったことなどを手掛かりに、対米ドルで約1週間ぶりの高値をつけた。
豪ドル/米ドルは1%高の0.9194米ドル。
BKアセット・マネジメントの外為担当マネジングディレクター、ボリス・シュロスバーグ氏は豪ドルについて、0.9300米ドル水準に向けて上昇する可能性があるとした一方、両国の金利見通しの相違を背景に売られやすい状況が続くとの見方を示した。