読み手のグレードを引き上げる、冷徹な魔女

元祖SHINSHINさん
元祖SHINSHINさん

たった一度のこととはいえ、フェルメールの実物「The Geographer」を鑑賞しておいてよかった。

http://minkabu.jp/blog/show/333554

彼女の言っていることを理解するのに、どうしても必要な経験なのだった。

 

★「小説のストラテジー」

  佐藤亜紀著 ちくま文庫 2012.11.10.第一刷発行

 

彼女はとても挑発的で、理知的な女だ。

ブログを見ても写真がない。それがまた神秘的だ。

なので、小説を読んでいて作者の意図したとおり勝手に描くであろう、

読者の頭の中に浮かぶその著者の風貌は、

かなり美化されたものになるはずだ。

 

彼女の書いた作品を読んでいるとき、

オイラの頭に浮かんだその著者の姿は、

海堂尊の書いた「マドンナ・ヴェルデ」に登場する、

冷徹な魔女(クール・ウィッチ)・曾根崎理恵なのであった。

 

「私の作品を理解できるのは、ある一定の基準をクリアした男(人)だけなのよ、わかる?」

 

ひと言でいうと、こんな感じの挑発が彼女の作品の底辺には流れている。

ここで普通の男なら、フン!とか思って知らんぷりを決め込むのだろうが、

少々マゾがかっているオイラの場合、

頭に来たり己の無能さにイジケルのと同時に、彼女の魅力にあらがえない自分を見いだしてしまい、

心の中で小さくニャァなどと鳴いて、メロメロになってしまうのだった。

 

なので、オイラと同じようなマゾがかった気質のある人なら、

佐藤亜紀という冷徹な魔女に、どっぷりとハマってしまうはずなのだ。

彼女の語っていることは、読者のレベルを上げること必至なのだから。

 

どうかこのまま顔などどこにも晒さずに、冷徹な魔女のままでいて欲しい。

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