本日の相場格言「材料が材料でなくなる時を知れ」
時は1991年1月17日 日本時間早朝
米国が、イラクに攻撃を開始した。
その日の朝、出社すると車内は蜂の巣をつついたような大騒ぎ。
それは、米国がイラクにミサイル攻撃をしたというものだった。
湾岸戦争である。
社内は騒然、寄付きから金価格は大暴騰を演じた。
買い注文殺到のストップ高だ。
その時までは・・そう、その時までは
「有事の金買い」という言葉は確かに生きていた。
とにかく買い漁れ。
全ての営業マンが、顧客に「金買い」を勧めた。
誰もが「戦争の金買い」を疑わなかったのである。
会社も投資家も・・・。
しかし、伏線はあった。
その前年の8月、イラクがクウェートに侵攻した時に・・・。
イラクがクウェートに侵攻した時、すでに金価格は相当上がっていたのである。
来たるべく戦争を市場は予測していたのだ。
朝から金買いパニックが起こった1月17日は、終わりの日だったのである。
私もその日は、顧客の数十人に金買いを勧めた。
というか、朝からストップ高を演じていて注文が入るかどうかさえ判らない。
作戦は「前注」
前注とは、資金が入っていなくても「買い」を出してしまう事である。
新規の客にだ。
勿論今ではこんな注文は許されない。
当時は、暗黙の了解でまかり通っていた。
これが後の地獄を呼び込むことになるとは、誰も知らずに。
その日の前場で出した金買い注文が、ストップ高にもかかわらず何故か成立していた。
「何故、ストップ高で買えるんだ?」
おかしい・・・。
誰もがそう思い始めた時、それは起こった。
イラクが弱すぎる!
戦争にならない!
戦後処理に多大な金がかかりそうだ!
後場からは一転、ストップ安。
前場で金を買った投資家は、殆んどが「足」の状態である。
(足とは、投資金以上のマイナスが発生してる事)
追証すら越えている・・・。
結局その日
俺は朝、顧客の買い注文を出し
午後には「足」の回収に走るという、今では考えられない業務をこなしていた。
20年近くも前の話だが、それ以来
俺は一切「材料」というものを信じなくなった。