大会で開発力アピール 町工場技術 コマに凝縮

arama-さん
 








眼鏡部品のチタン加工技術を使って商品化したこま。中央の白い円盤は大戦の「土俵」=福井県鯖江市丸山町の西村金属で







 

 子どものころ、だれもが遊んだ経験のある「こま」が全国の中小製造業の間で一大ブームとなっている。自社の技術力を駆使した手製のこまで競い合う大会も開かれ、企業はものづくりのプライドをかけて戦う。他社との連携や、開発したこま販売など新たな商機も生まれている。 



 直径二センチ、チタン製の球体のこまが持ち手の軸を下にして高速で回転する。「普通に回しても、軸が徐々に移動し、最後は必ず逆さになって回る。それがうちの『逆さコマ』の特徴です」。福井県鯖江市の眼鏡部品メーカー、西村金属の西村昭宏常務(35)は胸を張る。



 重心の設計や持ち手の長さの微調整を繰り返した。「指の皮がむけるまで会議室でひたすら試作品を回し続けた」と製造リーダーの小川一貴さん(33)は苦労話を語る。



 「町工場の技術をPRする」。横浜市の木型メーカー・ミナロが主催し昨年二月、愛知、静岡、長野、東京など八都県の町工場二十社で「全日本製造業コマ大戦」を初めて開いた。反響は大きく、今年二月の第二回大戦には、全国から初回の十倍の二百社が出場。各地で小規模な大会も開かれている。



 ミナロの緑川賢司社長(46)は「たまたま町工場の仲間がこまを作っていたので大会を思い付いたけど、思った以上に盛り上がっている」とうれしい誤算。「製造業の技術力を国内外にアピールし、いろいろな製品の販路を広げるきっかけになれば」と話す。



 こまの原材料や製造に使う機械は、各企業が本業で扱っているものを使用。作ったこまが大戦で活躍すれば、自社の優れた技術をアピールできる。



 測定器具メーカー、クリタテクノ(愛知県北名古屋市)の黒田正和製造部長(48)も「会社ホームページ(HP)のアクセス数は、大戦前の四、五倍に増えた。他県の企業と受注を分け合ったり、業務上の相談をする機会もできた」と、こま効果を実感している。



 こまそのものも商売につながっている。クリタテクノは、二月から大戦に使ったこまの廉価版(千二百六十円)を大戦のHPで販売、月二十個ほど売れている。西村金属は逆さコマのほか、動物柄や惑星のペイントを施した新商品も開発。西村常務は「品質の良さだけで物は売れない時代。未開拓の市場で、多くの人の共感を得られるような新たな価値を持つ商品を作りたい」と話している。



 <全日本製造業コマ大戦> 直径250ミリの円盤状の「土俵」の上で、直径20ミリ以内のこまを対戦させる。より長く回り続けるか、相手のこまを場外にはじき飛ばした方が勝ち。優勝者は出場したすべてのこまをもらえる。全国大会を「G1」、地方予選を「G2」、その他の団体戦などを「G3」と規定している。

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