企業の株主総会が二十七日、ピークを迎えた。東京証券取引所のまとめによると、東証に上場する三月期決算企業の約四割に当たる七百十八社が一斉に総会を開催。安倍政権の経済政策「アベノミクス」を背景に、消費者心理や企業の景況感が回復しつつある中、事業拡大や業績回復に向けた個々の経営手腕が厳しく問われる総会となった。
二十五日にマレーシアの格安航空会社(LCC)大手エアアジアとの合弁事業を解消すると発表したANAホールディングスが東京都港区で開いた総会では伊東信一郎社長が合弁解消について説明。担当役員はANAが出資しているLCC2社の経営統合の可能性を否定した。
一方で、株主からは昨年の大規模増資の影響で株価が低迷しているとの不満が相次ぎ、伊東社長が「(増資の)影響を上回る収益を上げられるよう全力を尽くす」と答えた。
イラン関連のドル建て決済取引をめぐり、米ニューヨーク州に二億五千万ドル(約二百四十五億円)の和解金を支払うことで合意した三菱UFJフィナンシャル・グループは東京都千代田区の日本武道館で総会を開催。タイの大手銀行を約四千億円で買収する方針を固めたこともあって今後の海外戦略が注目される中六千人余りが出席する大総会となった。
このほか川崎重工業との経営統合交渉が白紙に戻った三井造船は東京都中央区で総会を開いた。加藤泰彦社長は白紙化に触れ「お騒がせし、おわび申し上げる」と陳謝した。