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安倍バブルで保有額急増 赤いハゲタカの不気味





  大手企業や市場関係者が“赤いハゲタカ”と呼ぶ中国政府系ファンドはアベノミクスでどう動いたか――。


  企業が公表する「大株主の状況」を見れば、ある程度知ることができる。昨年9月末時点では「SSBT OD05」など中国政府系ファンドが大株主に名を連ねたのは180社。時価総額にして3兆658億円だった。


 「13年3月末は174社と6社減りましたが時価総額は4兆2447億円と急増です」(ちばぎん証券顧問の安藤富士男氏)

  09年3月末は1556億円(13社)に過ぎなかったのに、たった4年で4兆円超えだ。保有額トップはトヨタ自動車の3001億円、以下、三菱UFJ・FG、三井住友FG、ホンダ、みずほFGと続く(別表(1)参照)。株主順位では三菱UFJやみずほFG、日立製作所、野村HD、三井物産、東京海上が堂々3位にランクインしている。


 「中国の景気は減速気味だし、尖閣問題も未解決。大株主として無理難題を要求してくる可能性は高まっています。そればかりか、赤いハゲタカが一気に保有株を放出したら、日本市場は大混乱に陥ります」(市場関係者)


  しかも中国政府系ファンドの投資動向に変化が出てきたという。

 「富士重工への投資が気になります。1年前は10位以下だったのに、突如5位に躍り出た。これまでは、まず10位、9位あたりに顔を出し、その後、順位を上げてきた。ところが一気に5位です。また中国ファンドはずっと業界トップクラスへの投資でしたが、富士重は中堅です。投資スタンスに変化が見られます」(安藤富士男氏)

  新たに大株主となった企業は、通信工事のミライト、衣料のパル、クスリのアオキなど意外性がある(別表(2)参照)。何だか不気味だが、見方を変えると投資の指南役となりそうだ。


 「中国政府が目をつけた企業は、アベノミクスで株価上昇が期待できる銘柄群でしょう。赤いハゲタカが株主順位を上げた企業も狙い目となります」(証券アナリスト)


  キヤノンは6位→5位→4位、NTTは7位→5位→4位だ。安倍バブルを賢く乗り切る投資術かもしれない。



 【保有額トップ30(表(1))】

 ◇社名/時価総額/株主順位

 ◆トヨタ自動車/3001億円/9→9→9
 ◆三菱UFJ・FG/2039億円/3→3→3
 ◆三井住友FG/1438億円/3→4→4
 ◆ホンダ/1351億円/7→7→7
 ◆みずほFG/1154億円/3→3→3
 ◆キヤノン/937億円/6→5→4
 ◆ソフトバンク/916億円/7→7→6
 ◆武田薬品/839億円/5→5→5
 ◆三菱地所/729億円/5→6→6
 ◆JR東日本/700億円/8→8→8
 ◆日立製作所/677億円/4→3→3
 ◆NTT/665億円/7→5→4
 ◆三菱商事/602億円/6→6→6
 ◆セブン&アイHD/591億円/5→5→5
 ◆ファナック/578億円/5→6→6
 ◆日産自動車/562億円/7→7→8
 ◆信越化学/560億円/7→7→7
 ◆アステラス製薬/545億円/6→6→6
 ◆野村HD/533億円/3→3→3
 ◆三井物産/524億円/3→3→3
 ◆三井不動産/509億円/4→5→5
 ◆ブリヂストン/498億円/7→7→8
 ◆オリックス/486億円/4→4→4

 ◆NTTドコモ/478億円/4→4→4
 ◆コマツ/475億円/6→8→7
 ◆東芝/428億円/5→6→6
 ◆デンソー/426億円/9→9→10
 ◆東京海上HD/423億円/4→4→3
 ◆新日鉄住金/412億円/*→10→6
 ◆三菱重工/403億円/4→4→6

 ※ちばぎん証券・安藤富士男顧問の調査。株主順位は、12年3月末→12年9月末→13年3月末の順。*は対象外


 【新たに大株主となった会社(表(2))】

 ◇社名/時価総額/順位

 ◆富士重工/195億円/5
 ◆豊田自動織機/143億円/10
 ◆KDDI/134億円/10
 ◆日本ハム/58億円/10
 ◆東洋水産/58億円/8
 ◆住友重機/40億円/7
 ◆クスリのアオキ/16億円/8
 ◆ミライト/12億円/9
 ◆パル/4億円/10

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