Abe_Reiji-2013さんのブログ

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外国人と信用取引の個人だけがアベノミクス相場の買い手だった


先日とある専門家の記事を読んでいたら、年金基金からの委託で売買を行う信託銀行が大きく売りこしたことで需給バランスを大きく崩したことが、5月23日の暴落を招いた原因と記述していた。

 

そしてその放出分を吸収したのが個人投資家であったとしている。

 

 

そこで東京証券取引所の発表している投資主体別の売買についてのデータを確認してみたら、かなり異なる実情が浮かび上がってきた。

 

 

確かに5月4週だけで見れば信託銀行の-465,867という売り越しを個人の408,002の買い越しが買い支えた形になっています。

 

ところが、その前の5月3週は信託銀行の-251,380と個人の-279,283の売り越しを外国人の629,689の買い越しが買い支えています。

 

それどころか、昨年12月以降だけ見ても信託銀行が週間で買い越したのは2013年5月1週の3,097百万円のみです。それ以外の週は全て売り越しとなっています。

 

同様に4月4週は信託銀行の-156,225と個人の-470,672の売り越しを外国人の535,263の買い越しが、
4月2週は信託銀行の-251,685と個人の-884,862の売り越しを外国人の1,586,513の買い越しが、
4月1週は信託銀行の-162,234と個人の-651,833の売り越しを外国人の714,795の買い越しが、各々買い支えています。

 

 

また、個人投資家の合計では2013年1月2週の36,426、2月2週の80,189、3月3週の313,679、4月3週の324,579、5月4週の408,002、5月5週の215,669だけとなっています。

 

つまり、個人投資家も年金基金などと同様にひたすら売り続けたといっても過言ではないのです。

 

特に個人投資家の現金だけで見ると2013年3月3週の108,941、4月3週の25,349、5月4週の96,903、5月5週の55,283だけとなっていて、1000億円以上の買い越しは3月3週のみです。

 

それどころか、安倍自民党が選挙で大勝した2012年12月は3週の-257,425を筆頭に毎週1000億円以上の売り越しています。

 

そして久し振りの株価上昇で利益確定したくなったのか2013年は1月が5週の-201,779を筆頭に全ての週が売り越し、2月も全ての週が売り越しになっただけでなく2月3週の-121,144、2月4週の-182,252、3月1週の-336,492、3月2週の-179,243と4週間連続で1000億円以上の売り越しとなるなど株価上昇を絶好の売り機会として売りまくっています。

 

特に圧巻なのが黒田バズーカ砲の直後の4月1週の-558,616と4月2週の-881,305という2週間で合計約1.4兆円の売り越しで、さらに暴落の直前である5月前半の5月2週の-556,942と5月3週の-389,624という合計9400億円強の売り越しをしており、今回の株価上昇は利益確定のために売る機会と捉える向きが多かったようです。

 

同じ個人でも信用の場合は逆に2012年12月2週に-6,217、2013年4月1週に-93,217、4月2週に-3,557、6月1週に-80,817という僅か4週間のみ売り越しで、うち2週間は数十億円の売り越しに留まっていますから、いわゆるアベノミクスが始まって以降ほとんどの期間買い越しを続けています。

 

ただし、長期間の保有が少なかったり、資金面の問題があったりするのか、1000億円以上の買い越しは2013年1月2週の126,489、2月1週の197,380、3月2週の148,805、3月3週の204,738、4月3週の299,230、5月3週の110,341、5月4週の311,099、5月5週の160,386と9週間となっています。

 

 

この様に各週毎の投資主体別の売り越し・買い越しを確認していくと、圧倒的に外国人の買い越しが圧倒的であり、それを保管する形で信用取引を行うような積極的な個人投資家が買い越しているのが、最近の東京市場の状況なのです。

 

つまり、日本の金融機関などの機関投資家や現金で購入していた個人投資家は圧倒的な売り手としてこの上昇相場の中で利益確定の売りを続けているのです。

 

従って、こうした信用取引まで使うような人を中心とした一握りの個人投資家以外の日本の一般市民はせいぜい過去に現金で購入していた株式を上昇したところで売却したことのみがアベノミクスによる株価上昇の利益であり、株価上昇の恩恵はほとんど広がっていないのです。

 

こうした状況では株価上昇の利益は外国人投資家と信用取引に取り組む積極的な個人投資家のみとなるため、株価上昇を前面に押し出した政策の展開は困難なのではないでしょうか。

 

逆に言えば、株価下落は必ずしも安倍政権の支持率を低下させていないのは、国民の中で自己資金で株式投資を続けている個人が少ないことを示しているのかもしれませんね。

 

そうしたことも理解した上で、投資を続けていく覚悟をしておく必要がありそうです。

 

 

以下は投資主体別の売り越し・買い越し額のうち外国人・信託銀行・個人のみを抜粋したものです。(単位:100万円)

         外国人 信託銀行 現金     信用  個人計
2013年6月1週 160,822   -109,212  -60,213  -80,817  -141,030

2013年5月5週 -127,012   -21,888   55,283  160,386  215,669

2013年5月4週 -4,400   -465,867  96,903  311,099  408,002

2013年5月3週 629,689  -251,380 -389,624  110,341  -279,283

2013年5月2週 727,119  -16,702  -556,942   4,424  -552,518

2013年5月1週 -2,858     3,097  -33,918   88,333  54,415

2013年4月4週 535,263   -156,225 -479,953   9,281  -470,672

2013年4月3週 -153,921  -159,148 25,349  299,230  324,579

2013年4月2週 1,586,513  -251,685 -881,305  -3,557  -884,862

2013年4月1週 714,795  -162,234 -558,616  -93,217 -651,833

2013年3月4週 272,516  -198,881 -97,328  21,874  -75,454

2013年3月3週 -91,855  -251,283 108,941  204,738  313,679

2013年3月2週 457,418  -248,702 -179,243  148,805  -30,438

2013年3月1週 1,017,275  -199,992 -336,492  58,187  -278,305

2013年2月4週 295,797  -61,593 -182,252  24,913  -157,339

2013年2月3週 224,960  -172,482 -121,144  57,793  -63,351

2013年2月2週 182,853  -219,083 -2,401  82,590   80,189

2013年2月1週 150,680  -108,772 -67,904  197,380 129,476

2013年1月5週 382,073  -170,912 -201,779  87,418  -114,361

2013年1月4週 199,164  -161,352 -77,669  67,842  -9,827

2013年1月3週 213,809  -164,532 -73,751  61,419  -12,332

2013年1月2週 252,501  -210,170 -87,063  126,489  36,426

2013年1月1週 190,399  -42,122 -87,003   9,489 -77,514

2012年12月4週 266,651  -240,391 -143,309  75,862  -67,447

2012年12月3週 701,922  -324,552 -257,425  50,653  -206,772

2012年12月2週 462,860  -56,757 -151,797  -6,217  -158,014

2012年12月1週 113,394  -11,704 -116,409  10,898  -105,511

5件のコメントがあります
  • イメージ
    yuhsanさん
    2013/6/19 07:06

    Abe_Reiji-2013さん

    おはようございます。

     

    長期にわたって精査された資料、大変勉強になりました。

    ありがとうございます。

    私も株価の下落にもかかわらず、安倍政権の支持率が高いのはなぜかと思っていましたが、ひとつの疑問が取れた感じです。

    このまま、政権の安定につながれば、高い支持率がアベノミクスを支持した証になるのだと思っています。

    半年前のあの暗黒時代には、戻ってもらいたくない気持ちは強く持っています。

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    Abe_Reiji-2013さん
    2013/6/19 07:40

    おはようございます。

     

    安倍政権の経済税策への期待から、日経平均は大幅な上昇をしてきたわけですが、日本の多くの投資家は安値の時に買いたい人が多いようで、個人投資家はさ年買い越したのは実は野田政権の時でした。

     

    機関投資家も同じように安値の時に買いたいようで、上昇局面では売り方に回っているようです。

     

    外国人投資家から見るとこうした売買のタイミングは理解し難いそうですが、どうやらバブル崩壊後の下落で大きな損失を被った影響が残っているといえそうです。

     

    ただ、大幅な下落に転じた後の5月の4週と5週に個人投資家が買い越しているので、この分は損失が生じており、このしこりや資金力の減少を考えると個人投資家の買い越しによる急上昇はあまり期待できないかもしれません。

     

    そう考えると一層外国人投資家が重みを増していくのではないでしょうか。

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    ルパンさん
    2013/6/19 08:08
    おはようございます。
    意外な結果で驚きです。

    今後は上がれば売られると見て良いでしょうか?

    しこりが解消する迄はヨコヨコですね!

    外国人が余程買い越ししないと上値は望め無いですね?
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    Abe_Reiji-2013さん
    2013/6/19 20:17

    北浜さん、こんばんは!

     

    こうした数字を見る限り、多くのプロとされる人たちの解説が思い込みによるものだと思わざるを得ませんね。

     

    それでも、その記事の裏側を見てみようという気持ちがあれば、推測が可能だから、お分かりになっている方も見えたんですね。

     

    ルパンさん、こんばんは!

     

    そうそう、個人投資家の現金による買い越し分は、過去の実績を見る限りあがれば直ぐに売られるのでしょうから、本格的な上昇には妨げに成るリスクもありそうです。

     

    なお、外国人投資家も投資主体別で見るとひたすら買い越しているといえるのですが、彼らも一体最後のエグジットの際に誰に売ればよいのか戸惑っているという噂もありますね。

     

    このデータを見れば判る通り、個人投資家の現金による買い越しは安いときだけですから利益確定にはならないし、かといって数少ない買い手である個人投資家の信用による買い越しだけでは、一体どれだけ長期間賭けて売らなければならないか・・・と考えただけで気が遠くなりそうです。

     

    最後は誰が買うんですかね・・・

     

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