外資系証券注文動向とは

さふぁいあさん
さふぁいあさん
 今日は1350万株の買い越しです。そんなニュースが毎朝株系のツールで流れているが、今回はこの外資系証券注文動向のお話。
 まず外資系証券とはどこかと言うと、皆さんがご存知の有名どころと考えてもらって結構です。ゴールドマンサックス、JPモルガン、ドイツ、UBSなどなどその辺の集合体のこと。外国の機関投資家はその地域でサービスのよい証券会社を経由して日本株の売買を行っていることが多いのですが、朝の注文動向が外国人の売り買いかというとそれは誤解です。
 http://www.sapphirestock.com/2008/03/21-121714.php
 この記事でもちょっと書いたことなのですが、国内系の運用会社や機関投資家であっても外資系証券会社に発注は出します。手数料や約定価格の上手下手、アナリストや営業からのサービスなどを勘案した上で証券会社に発注をするのは国内系だろうが一緒なわけです。野村アセットマネジメントや日興アセットマネジメントのような証券会社系列の運用会社であっても、全てを系列の野村證券や日興コーディアルを通して売買するわけではありません。
 また外国人の資金を国内系の運用会社が顧問契約で預かって運用している場合は、国内の運用会社から発注されるわけなので実質は外国人の売買であっても注文は国内からということもいくらでもあります。
 つまり朝の外資系証券注文動向というのはあくまでも外資系証券を通じて朝注文が入っている売買というだけであり、東証発表の投資部門別売買状況や財務省発表の対内証券投資の数字とは当然異なります。外資系動向を足していっても他の数字と違っているため、なんだよ外人嘘情報流して実は拾ってるのかよ!みたいなことを言う人が結構いますがそれは勘違いです。
 じゃあなぜこのような数字が寄り前に流れているのかという話。
 実は機関投資家には毎日朝8時くらいまでには各証券会社が売りたいセクター買いたいセクターはこれこれですという感じで情報が出回っています。証券会社によっては個別銘柄の名前まで出してくるところもあります。当然社外秘扱いですので外に出してはいけないような情報なわけです。
 なんでこんな情報をわざわざ出してくるのかというと、ブロックトレードのオファーがないか聞いて回りたいから。ブロックというのは文字通り株の塊のこと。ザラ場に出すには出来高から考えるとちょっと多いなーというような注文の場合、発注を受けた証券会社はザラ場で捌く前にまとめて引き取ってくれるところがないかを探します。そうしないとマーケットのあちこちで特売りや特買いが発生しかねない状況になるからです。
 例えばUBS証券がスイスのバンクから任天堂売り10万株の注文を受けたとします。証券会社はいろいろな運用会社からの発注を受けているわけなので、この運用会社は最近任天堂を買っているんじゃないかなーという情報を持っています。そこでその運用会社のトレーディングに電話をして、まとまった売り物あるけど買いませんかー?と打診してくるわけです。その後にファンドマネージャーからじゃあその玉もらってよという指示が出ると、トレーダーはブロックトレードという市場外取引を行って売買を執行します。値段は前場引け値やVWAPといったようなあまり作為的に操作されないような値での決済が多いです。
 市場外でのブロックトレードというのは珍しいものではなく、いかに値を崩さないように売買を捌くかが証券会社の腕の見せ所だったりします。なぜなら売り手は高く売りたいし買い手は安く買いたい、両者とも前日終値を見た上で朝発注してくるわけなのでそこから乖離しちゃうとあの証券会社は下手だと思われて次の注文をもらえなくなるかもしれない。需要と供給をうまくマッチングできれば双方にメリットのあるトレードを執行できるわけです。
 といった感じでブロックのオファーを取るために寄り前に売りたし買いたし情報を機関投資家向けに流すわけです。それを誰かがニュース会社向けに流し始めたせいで、いつの間にか個人投資家も気にする数字になってしまったんでしょう。
 
 てなわけであまり外資系証券の注文動向に惑わされないようにしましょう。
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