三十日の東京株式市場は大幅反落した。市場関係者からは「米国が金融緩和を縮小するとの観測が、日本の株安の一因」との見方が出ている。なぜ、米国の金融政策の変更が、日本の株価下落につながるのか。
Q 米国では金融緩和が縮小されるのか。
A 米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)は大量のお金を世の中に流し、景気を下支えしてきた。最近は雇用が改善するなど明るさが見え始めた。金融緩和もずっと続ければ、制御できないインフレを引き起こす心配がある。だから、緩和縮小の議論が出始めているんだ。
Q 縮小するとどうなるの。
A FRBは、金融緩和の一環として実施している米国債の購入を減らす可能性がある。投資家はその動きを見越して、「国債の買い手が少なくなれば、国債がだぶつき価格が下がり、利回りは上昇するだろう」と連想している。国債は国の借金だから、国が破綻しない限りは安全。投資家は値下がりのリスクがある株より、国債に資金を振り向けようとするんだ。
Q それがどうして日本の株価に影響するの。
A 日本の株式売買の六割は、米ヘッジファンドなど外国人投資家が占めるからだ。ヘッジファンドには急ピッチに上昇してきた日本株への警戒感が根強い。だから株価が高いうちにいったん現金にして、手元に置こうとしているんだ。
Q 確かに「利益確定売り」と書かれた記事を目にする。
A ヘッジファンドは五月に中間決算、十一月に本決算を迎えるケースが多い。その際、出資者に配当金を渡すためのお金が必要になる。だから五月は例年、利益を確保するために株を売るので、株価は値下がりしやすい。
Q 今後、株価はどう動くのか。
A 円安によって輸出採算が向上しているから、自動車など国内企業の業績は回復しつつある。外国人投資家が「景気が良いから値上がりしそうだ」と判断すれば、株に資金が戻り上昇する可能性はある。