月影 隼人さんのブログ

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太平洋戦争強制動員犠牲者に対する支援法律

「太平洋戦争強制動員犠牲者補償金名目で3万人を相手に15億ウォン詐欺の被疑者39名検挙」と題するソウル地方警察庁が4月22日に出したブリーフィング資料がある。


 それを翻訳紹介しながら解説を加えていこう。資料の冒頭は次のような事件の要約がある。全文翻訳する。

 

〈ソウル地方警察庁広域捜査隊は、太平洋戦争強制動員犠牲者に対する補償金を受け取れるようにしてやるとして、各種の日帝強占期[日本帝国主義が朝鮮半島を強制占領していた時期の意。韓国では日常的に使われている歴史用語・西岡解説、以下同] 関連団体を設立し、弁護士選任費用などの名目で3万人あまりから15億ウォン相当を詐取したY某氏(67歳)[梁順任氏]など39名を不拘束立件した。
 
 捜査の結果、Y某氏は○○遺族会代表としてテレビニュースのインタビューなどに出演した点を前面に出して、弁護士選任費用などに使わなければならないといって1人あたり3万ウォン〜9万ウォンを、募集役を通じて詐取してきたことが確認された。
警察は、太平洋戦争強制動員犠牲者に対する補償は「太平洋戦争強制動員犠牲者に対する支援法律」によってのみ、なされるものであるのでこれ以上の追加被害がないようにお願いするとともに、詐取金のうち口座に残っている1億5千万ウォンに対する没収・保全を申請する予定だ。〉
 
ここで言及されている「太平洋戦争強制動員犠牲者に対する支援法律」とは、2007年12月に制定され、2008年6月11日に施行された「太平洋戦争前後の国外強制動員犠牲者など支援に関する法律」を指す。(なお、同法律は2010年3月22日にサハリン残留者への支援条項などを補完して「対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員犠牲者など支援に関する特別法」と改称されている。法の趣旨は同一なのでここでは補完改称前の法律を紹介する)。

 
 同法は〈この法は1965年に締結された「大韓民国と日本国間の財産及び請求権に関する問題解決と経済協力に関する協定」と関連して国家が太平洋戦争前後の国外強制動員犠牲者とその遺族などに人道的次元で慰労金などを支援することによりこの者たちの苦痛を治癒し国民和合に寄与することを目的とする〉(第1条)とし、軍人、軍属、労務者として国外に動員され死亡したり行方不明になった者の家族に2千万ウォン、負傷により障害を負った者に障害の程度に従い最高2千万ウォン、日本の政府や民間に給与、手当、弔慰金などの未収金などがある者に1円を2千ウォンに換算して、それぞれ慰労金を支給することを定めている。

 

 「大韓民国と日本国間の財産及び請求権に関する問題解決と経済協力に関する協定」とは日韓国交回復の際に締結された協定で、無償3億ドル、有償2億ドルの資金を日本が韓国に提供し、それをもって日韓の戦後補償が「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」(第2条)と規定している。


私は20年前からこの点を指摘して、戦後補償は韓国政府が自国民被害者に対して行うべきもので、日本を相手にそれを求める裁判はナンセンスだと繰り返し主張してきた。
2007年にそのことが実現する法律が韓国で成立していたのだ。

この事実はあまり日本で知られていないので強調しておきたい。

 

なお、元慰安婦に対して韓国政府が支援金を支給する法律「日帝下、日本軍慰安婦に対する生活安定支援法」は1993年6月に制定されている。

 

そして今回、ソウル警察庁はこの法律がある以上、戦後補償を名目に日本を相手に裁判を起こしても勝てるはずはないし、民間団体である遺族会などの会費をおさめなくても資格さえあれば韓国政府から慰労金は出るとして、 会費や弁護士費用などを集める梁順任氏らの活動を詐欺だとして摘発したのだ。
それだけでなく、ソウル警察庁は、被害事実があれば法に基づき慰労金は出るから、日本から補償金を取ってやるなどと言う詐欺師に騙されないようにしてほしいという警告まで出しているのだ。


 20年前、植村記者や青柳氏、高木弁護士ら反日日本人と梁順任氏らによってめちゃくちゃにされた日韓関係が常識に即した形でやっと正常化されたと言えるのではないか。

 

(梁順任氏は植村記者の義理の母)

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