新興市場の一部銘柄が、このところ大きく変動しているようです。新興市場ばかりでなく、一部市場の大型株まで、まるで木の葉のように上下しています。
CNBCでは、これらの動きをバブルと決め付け、いずれは下落するようなことを言っている人もいます。株は上がれば下がるものですから、間違ってはいないでしょう。ただ、ファンダメンタルを無視して上がる株を、すべてバブルと決め付けるのは間違いです。
株がファンダだけで動くなら株価は固定し、株式市場も証券会社も存在しなくなります。ファンダ以外の要素で動くのは、株の世界では当たり前の話です。何回もいうようですが、バブルは、相場が加熱し理屈がつかないほどに高騰し、最後に弾けてしまう現象です。
弾けさえしなければ通常の株価循環で、株価が上下するから相場になります。ファンダを無視した株価は当たり前の現象なのです。それをバブルと決め付け、ろくな説明もしないで「いずれ下がるでしょう」では解説にもなりません。
更に問題なのは、このようなファンダを無視して急激に上がる一部の銘柄を取り上げて、「全体もバブル相場でいずれは暴落する」という理論にすりかえていることです。解説者の一部には、今の相場についてゆけない弱気派が何人かいて、そのはけ口としてこの現象を利用したのでしょうが、間違った解説が与える影響についても考えてみる必要がありそうです。
というのも、バブルは天国と地獄が共存している状態です。上昇過程では儲けが最大となり、弾けたあとは社会問題となります。私はバブルという言葉を、天国でのタンゴの響きに聞こえますが、世間一般ではタイタニック号に乗り込んだ乗客の悲鳴に聞こえるようです。バブルは本来、株価現象なのですが、それを社会問題として捉えるところに問題があります。
株価は国の経済力を表す指標ですから、高いほうが良いに決まっています。ですが、株価が上がるのを喜んでいる人ばかりではありません。株の本質はギャンブルですから、儲ける人がいれば損をする人もいます。株をやらない人から見れば、高嶺の花で面白くないと感じている人も多いと思われます。株の値上がりを喜ぶ人より、不愉快に思う人のほうが、全体としては多いような感じです。
この感情を社会不安の種にしようとする人種がいるのも事実です。アベノミクスがほころびを見せるのも、こんなところにありそうです。仮に一部の銘柄でバブルが弾けて株価が急落したとしても、全体としてファンダメンタルで合理的に株価の水準を説明できれば、まったく問題はないはずです。それを「株高騰=バブル」と決め付けて株価下落を誘うやり方は、株式市場に向かっている国民の感情を逆進させるきっかけになり、強いては株式市場を壊してしまいます。
バブルは一生に1度あるかないかの儲けのチャンスですが、逆に言えばそんなに頻繁に起こるものではありません。一部分を取り上げて、バブルバブルと連呼するのは、株価に下方圧力を掛けることになります。
バブルの意味をしっかり理解して、付和雷同しないようにしたいものです。