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【書評】『児玉誉士夫 巨魁の昭和史』有馬哲夫著



記事によると、政商、政界のフィクサー、右翼のドン-。とかく悪評が絶えなかった児玉誉士夫(こだま・よしお)の実像をCIA(米中央情報局)文書などから丹念にあぶり出した力作である。

もっぱら影響力の強い政治家に近づき、目標を実現しようとした児玉を著者は、自主憲法と自主防衛を志向してアジアの盟主として独立国家を目指した戦後最大の「政治プロデューサー」だったと評する。「政治プロデューサー」とは、政治家や政党に資金や便宜を与え、さまざまな人物や組織を結びつけ、日本の政治を一定方向に動かそうとする人間。裏社会に通じていたからこそ表を操れたという。

戦時中、上海に作った特務機関長として、中国各地を飛び回り、物資調達と機密情報も集めた。タングステンなどのレアメタルの鉱山の経営にあたり、インテリジェンス工作の活動資金を現地調達する。ヘロインも扱う才覚を戦後CIAは見逃さなかった。

A級戦犯として巣鴨プリズンに拘留され、1948年に釈放される際、CIAと協力関係ができる。日本や台湾の共産化防止のため「台湾義勇軍」を組織し、正力松太郎が日本テレビを立ち上げる際も、CIAの金が児玉経由で流れた。「培養した」鳩山一郎が総理となるが、鳩山がソ連との国交回復に進み、「自主防衛論」は置き去りにされる。

ロッキード事件では検察は工作資金を児玉の収入とみなしたが、児玉が受け取ったとされる資金の多くがニクソン大統領の再選資金に還流されていた可能性が高い。CIAが日本の政治家や黒幕に秘密工作を行い、米国の外交政策のコマにしている実態が浮かぶ。戦後最大のスキャンダルは、日米関係を淵源とし、日本側「政治プロデューサー」と米側のそれの暗闘だった。

目的のため手段を選ばないマキャベリズムの実践者だった児玉は、占領軍を手玉に取り、CIAと渡り合いながら、ロッキード事件で有罪となり、最終的に米国に絡め取られた。利用したつもりが利用されていたのだ。自主憲法・自主防衛が実現できない現在、知られざる児玉の半生は、多くの示唆に富んでいるとのことです。


内容紹介

昭和裏面史の主役を、アメリカはどう見ていたか

戦前は右翼の大立者として、そして戦後は55年体制下のフィクサーとして暗躍した児玉。その生涯をCIA内部文書をもとに描き出す。






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