三次元の設計図をもとに、立体物を作り出す機械「3Dプリンター」を利用して、米テキサス州の団体がウェブサイト上で設計データを公開したプラスチック製の短銃が、全米で波紋を広げている。 米国務省は十日、軍需産業の情報流出などを取り締まる国際武器取引規制(ITAR)に違反する恐れがあると指摘。団体は、データ公開を中止した。
米メディアによると、データを公開したのはテキサス大法学部に通うコーディ・ウィルソンさん(25)が設立した団体「ディフェンス・ディストリビューテッド」。
3Dプリンターを使用して部品を作り出し、組み立てた銃「リベレーター」の設計データを、六日から公開したところ、二日間で世界中から約五十四万件のアクセスが殺到。データのダウンロード回数は約十万件に上った。
動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開した画像は、二百八十万回以上視聴された。
これを受け、国務省が調査を開始。団体は九日、国務省から「最終判断が出るまで、設計データをウェブサイト上から削除しておくように」と要請され、データ公開を取りやめた。
民主党上院議員らは「パソコンとプリンターさえあれば、テロリストや凶悪犯など誰もが家で銃を作れてしまう」と指摘。自家製や金属探知機で発見できないプラスチック製の銃について、規制強化の必要性を唱え始めた。