2008年6月21日に、同じような題で書いています。そのときは猿でした。今回は、猫好きな方には申し訳ないのですが、猫としました。猿でも猫でもいいのですが、「何も考えずに買う人のほうが儲かり」、「猫は儲かっても、人間は儲からない」といいたいのです。
猫でも儲かる相場とは何か、そういう相場環境がこれからも続くのか、それを詰めるのが今回の日記です。
「猫でも儲かる相場」は、「誰でも儲かる相場」ではありません。株はギャンブルなのですから、「誰でも儲かる」のは自己矛盾です。ポーカーゲームで、みんな勝つなんてありえないでしょう。
今回の相場では、黙って買い持ちしていれば、ほとんどの人は儲かっています。誰が損をしたのでしょうか。外国人は今回の相場で8兆円ほど買っているそうですが、そのほとんどを日本人、特に日本の金融機関が供給しています。日本人が損をしたのは間違いありません。
金融機関の担当者は、法律や規制それに益出しなどで売却しているので、損ではないと思っているかもしれません。でも持ち続けていればえられる利益を失うのですから、損であることには変わりありません。彼らはある種の確信犯なので、これからも株の供給者として、その存在は維持されそうです。
それでは、日本の個人はどうでしょうか。日経新聞などによると、個人投資家の大部分は、信用取引を使った短期投資だということです。とすると、年初からの投資行動は、上がりすぎだとか、朝鮮半島有事に備えろとか、アベノミックスは問題とか……で、そのたびに空売りをかけたり、手を空かせたりした人ではないでしょうか。儲かったとしても、猫よりは儲けが少ないはずです。
短期投資の象徴のような「デイトレ」が、いい例なのかもしれません。1日のうちにすべての取引を完了し、翌日に持ち越さないという投資手法は、チャートを組み合わせることで、更にリスクを最小化し、資金効率を高められそうです。トレードを2~3日、あるいは1週間に広げるスイングトレードも、考え方は同じです。
でもこの手法で、億万長者になった話はあまり聞きません。思うに、リスクを翌日に持ち越さないという考え方は、時間に逆らう投資方法そのものといえます。デイトレは、時間を味方につけないという点では、もっとも投機的な投資手法といえそうです。
相場環境が右肩下がりか、相場が長期にわたって上下に大きく振れるような時には、効力がありそうですが、今のような右肩上がりで、外国人が相場の主導権を握っているようなときには、その効力が発揮できません。今の相場は、海外で8割、残りの2割が日本で作られる状態です。その2割を取り合うのですから、短期では儲けようにも儲けられないのは明白です。
私はデイトレがだめだといっているのではありません。株を遊びと割り切ってやるのならデイトレが一番です。損をしても知れていますし、当たれば家族をハワイで1週間ほど遊ばせることができるのですから。
外国人を猫だと決め付けるつもりはありませんが、株のことはあまり知らない投資家が、知りすぎた投資家より儲かった相場であったことは事実です。でもこれだけの人から「儲かった、儲かった」の声を聞くようになると、本当に、「株はギャンブル」なのかと問う必要がありそうです。
株は短期ではギャンブルですが、これに時間の要素を入れ、配当金、自社株消却、M&Aといった企業側が負担する株式価値の増加を加味すると、その分が損得合計に上乗せされることになります。長期に保有する株主はその恩恵を受け、その分有利になります。
経済学でも、国民総生産が増加すると株式の価値が増えることを証明しています。ただ、最近のように国民総生産がほとんど伸びない状況では、一相場が終わってしまえば、またもとの木阿弥になってしまい、株主には還元されないこともありえます。その場合の長期保有では、ギャンブル性が薄められたとは言えないのかもしれません。
儲けの中身についても問題がありそうです。猫の儲けは、資産の増加を喜んでいる人がほとんどです。「株は売ってなんぼ」なのです。利益を確定するまでは、あくまでも含み益、本当の利益ではありません。幻の利益に喜んで、「儲けた、儲けた」といっているのかもしれません。それでもいずれは儲けを確定できるでしょうし、将来の配当金となって還元されるでしょう。リスクは取らないとリターンにならないのです。
これまでのところ、理論は分からなくても、長期に株を持っていた人が、夜も寝ないで情報を集め、チャートを勉強した人より儲かったのは、なんとも皮肉な結果でした。
この環境は今後も続くのでしょうか。「アベノミクス相場の本質と将来」についても触れたいと思っています。ご期待ください。。。