週刊文●、4/4号の記事『解雇自由化の悪巧みで日本企業は総ブラック化する』
、、、タイトルが刺激的なので、当方認識の誤りを正すべく読んでみました。
記事主旨は、、、
1 解雇規制緩和でパワハラ、長時間労働、無限サービス残業が増える。 ブラック企業が増える。
2 解雇規制緩和で成果主義が強化される。
3 解雇規制緩和でも若者の雇用は増えない。
4 解雇規制緩和で企業の海外進出は加速し、空洞化が進む。
5 日本の正社員は職務内容や勤務地が限定されていないので、その代替として解雇規制が必要。
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上記記事でおかしい点は、解雇規制緩和では、解雇しやすくなる反面、ヒトを雇いやすくなる、、のに、それを無視しているところ。
解雇規制緩和では、解雇も増えるが、再就職も容易になる。 つまり、転職が容易になるのです。
ところが、今の日本は、一旦、解雇されたら再就職が困難なので、従業員は解雇を恐れ、経営者の無謀な要求が通りやすくなっている。
パワハラ、長時間労働、無限サービス残業地獄、ブラック企業、過剰な成果主義(成果に対し報酬が乏しい)、、、これらは全て解雇規制の強さゆえの産物。
解雇規制緩和(=解雇容易化=再就職容易化)で転職容易化なので、パワハラ、長時間労働、サービス残業、ブラック企業はかえって減る。やりにくくなる。これは正社員、非正規含め全ての労働者にプラス。
ゆえに、上記の記事主旨の1,2は誤りである。
解雇規制緩和で苦しくなるのは、労働者でなく、むしろ無能経営者と労組幹部(転職容易になると労働組合費の安定・多額の徴収は困難になり、労組幹部は苦しくなる)。
解雇規制緩和で労働者と経営者は、むしろ対等な契約関係に近づくのです(完璧に対等になれないのは、経営者は労働者よりもリスクを取っているから、、役所や官需企業、談合企業でない限り。ゆえに完全対等になりたければ起業すべきなのです)。
ちなみに解雇規制が既に緩和されている北欧、ドイツ、英米では失業率はそれほど増えてない。
失業率は、不況時に10%、好況時に5%ほどで安定している(これに対し、日本は失業率5%で安定だが漸次、右肩上がりで増大)。
解雇規制が緩和されても、不況時に5%分が解雇され、好況時に再就職となるだけで、失業時は雇用保険、職業訓練に生活保護もあるので、生活には困らない(不況時に解雇され続ける確率は、交通事故にあう確率よりもずっと低い、、航空機事故の確率に近い)。
解雇規制緩和で、雇用過剰な『成熟産業』から雇用不足の『成長産業』へ人材移動が進むので、転職を機に、生活が右肩上がりになるヒトが増える。
しかも、解雇規制が緩和された国では、成熟産業から成長産業への人材移動のほか、起業も増えやすくなるので、成長率が上がり、経済全体のパイも膨らむ。 毎回の不況で解雇、転職を繰り返すヒトも含め、国民全体の暮らしはむしろ良くなっていくのです(解雇規制が強い国のほうが経済成長は低迷し、失業率の漸増傾向が続く、、、その究極が社会主義)。
なぜ解雇規制緩和で起業が増えるか?
それは、リスクを取らない労働者が過剰に保護されなくなるから(労働者保護が小さく、再就職容易ならば、自分で起業しようと思うヒトが増える)。
リスクを取る起業家に、労働者過剰保護の重しがなくなるから(起業失敗のリスクが減る)。
解雇されやすい=起業に踏み切りやすい、、でもある。
つまり、労働者と経営者の垣根が低くなり、相互への動きが活発化するのです。
これにより、経営者の新陳代謝が進み、無能経営者が淘汰されやすくなると同時に、階級固定化は起こりにくくなる。
逆に言えば、解雇規制強化では無能経営者だらけになり、階級固定化が進むということです。 無能なトップが階級の頂点に君臨し続けるようになり、世襲化も起きやすくなるのです(これは今の日本の現状に近い)。
さて、解雇規制緩和によって起業増大となれば、新規サービスが増え、技術革新が進みやすくなり、経済成長は上がります。
これらにより、国民生活はより便利で豊かになるうえ、(好不況の上下はありつつも)雇用・賃金は中長期的に右肩上がりになる。
実際、米国では、労組が無く解雇規制が緩い業界(IT、バイオ)のほうが発展し、雇用・賃金とも増えている(逆は自動車、鉄鋼)。
(補足) 日本の失業率は好不況に依らず5%で安定してるが、これは社内失業分5%が隠れているから。 社内失業を吐き出すと不況時はやはり10%程度の失業になる。 これは、本来、国全体の社会保険で対応すべき5%の失業者の面倒を、一企業に見させてることになる。 成長産業、成熟産業問わず、全企業の成長力を削いでいることになる。 国全体の成長力を鈍化させ、国民の暮らしを貧しくしていることになる。
失業者保護はすべきだが、それは企業負担でなく、社会保険でなすべきことなのです。 企業負担にさせてるから、パワハラ、(賃金と不釣り合いな)過剰ノルマ、長時間労働、サービス残業、賃金の後払い(=年功序列)などの問題も起きやすくなる。
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解雇規制と若年雇用は関係ない。
解雇規制が強かろうと、緩かろうと、若年雇用だけ増えることはなく、中高年失業だけが増えるわけでもない。
なぜなら、雇用するか否か、解雇するか否か、は賃金と能力の兼ね合いで決まるからである。
経営者は、賃金に能力が見合うならば雇い、そうでなければ解雇する、、、それだけのこと。
一般に、若者は低賃金・低能力、中高年は高賃金・高能力、、、、両者は賃金、能力の兼ね合いで差がない。
だから、解雇規制の強弱にかかわらず、若年雇用だけ増やしたり、中高年だけ失業させたり、とはならない。 そんなアホな経営者ばかりだったら、経営が危うくなる。
政策的にそんなことを強制したり、誘導するのはもっとバカです。 それは不公正なばかりか、経済効率を悪化させ、成長率を下げ、国民生活を危うくするから。
ゆえに、記事主旨の3は誤りなうえ、不公正でお馬●なのです。
(補足) 現在、50代は能力以上の賃金だが、このヒトたちは若い頃に10万円の月給やら1万円の残業手当で12時間、15時間労働(一部、18時間)であり低賃金・重労働でした。 その分を50代のいま、返して貰っている状態。 『年功序列』とは賃金の後払いであり、企業に非常に有利なシステムだったわけです。 その時の成果を、その時に適正な賃金で貰う『成果主義』のほうがずっと公正なのです。 だから、日本型システムは海外で広まるわけがない(--; 海外に年功序列、終身雇用を持ち込む経営者はお馬鹿。
解雇規制緩和=転職容易化は、終身雇用(労働者囲い込み&起業困難化)・年功序列(賃金後払い)という労働者不利な制度を改めるのにも有利です。 この制度は、既存の無能経営者や労組幹部に美味しいだけで、労働者の福利には実は役立ってない。
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解雇規制と企業の海外進出、空洞化は関係ない。
理由は上と全く同じ。
若者・中高年を、国内労働者・海外労働者に置き換えて考えればすぐ分かることです。
むしろ、解雇規制を緩め、海外と同じにしたほうが、国内雇用は増えやすくなる(クビにしやすい=雇いやすい、、であるから)。
企業に過剰な海外進出=経済空洞化を起こさせるのは、解雇規制云々でなく、円高政策(=デフレ政策)です。
民●党政権のやった円高デフレ政策が経済空洞化の元凶でした。
ちなみに、政策的に企業の海外進出を抑えるのもお馬鹿です。
企業の海外進出度合いは、国内の経済成長を高める『真っ当な』政策の結果、自然に適正化するのが良い。 それが国民益にはベストです。
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記事主旨5は異なる問題を、無理矢理リンクさせてるから誤り。
上述のように解雇規制緩和だけ行っても、乱暴な配転や転勤を抑制する効果があるのだから、解雇規制緩和を先行させても何ら問題ない。
というか、先行させれば、職務内容や勤務地の非限定という悪しき規定は骨抜きになるのです。
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、、、、総じて、週刊文●記事は労働者の味方のふりをして、実のところ、悪徳経営者、無能経営者やそれに寄生する労組幹部を保護する内容になってます。
利権をむさぼるモノは、それを誤魔化すために『愛国』のふりをしたがるものです。
自●党はそういう人たち(麻生氏など典型と思う)の集団になりつつあるから、安倍総理には真っ当な方向で頑張って欲しい(--;
、、、ちなみに、上記の『愛国』を、『労働者の味方』に変えると左翼カルト=労組幹部になりますが、利権オヤジ(自●党多や官僚の多数派)も左翼カルト(民●党)も不公正、反国民益という点で同じ穴のムジナ。
しかし、両者は手を握れない。
左翼カルトは、利権バラマキに与すると存在価値を失うからです。
利権バラマキは、左翼カルトのように薄く広くばらまくと利権でなくなってしまうからです。
『公正』を旗印に掲げる政党がある程度強くなれば、利権オヤジ、左翼カルトは居づらくなり、国民はもっと豊かになるでしょう。
(補足) 近年、解雇規制緩和を唱えだした竹中平蔵氏は2009年にパソナグループ会長に迎えられている(実権は創業株主であり、竹中氏は顧問的立場に過ぎない)。 この会社の仕事は人材派遣であり、解雇規制緩和で労働市場(転職市場)が膨らんだとしても利益を得られるわけでない。 日本には転職市場がほとんどなく、それが膨らんだとしても、そこでの利益は自由競争で得ることになるから、政策変更に伴う利益は確約された『利権』ではない。 しかし、竹中さん、パソナ会長は降りたほうが良いですねえ、、、。 関西出自の会社はどこでどういうつながりがあるか分からないし。