arama-さんのブログ

最新一覧へ

« 前へ512件目 / 全2962件次へ »
ブログ

脱法ドラッグ あすから「包括指定」 規制免れるハーブ店頭に








これまでに東京都が押収した脱法ドラッグ






 幻覚や興奮作用がある脱法ドラッグの規制強化のため、厚生労働省は二十二日から、成分構造が似た複数の化学物質を使ったハーブなどの製造や販売、輸入を一括規制する「包括指定」を導入する。国はこれまでも個別物質ごとに指定を繰り返してきたが、そのたびに成分を一部変えた新種が出回ってきた。「いたちごっこ」を断ち切りたい考えだが、店頭には早くも、包括指定をかいくぐる最新種が登場している。 



 「『ゼロ系』ありますよ」。東京都内有数の繁華街にある雑居ビル。薄明かりのついた一室に座る男性店長が、ショーケースの一角を指さした。



 ゼロ系とは、包括指定を免れる脱法ハーブのことだ。国内の主要メーカーはこれまで、新たな個別指定がなされるたびに化学式の幹となる基本骨格は変えず、枝葉となる物質のみ変えた新種を開発し、規制を免れてきた。



 化学式の基本骨格が同じものをまとめて規制する包括指定は、脱法ハーブの流通を一網打尽にすると期待される。だが、既に「次世代のハーブ」と言われるゼロ系が、網の目をすり抜けている。



 男性は三十代。以前は土木関係の仕事をしていて、半年前に店を開いた。元暴走族グループのメンバーで、暴走族「関東連合」OBや暴力団の知り合いも多い。逮捕歴が数回あるという。



 店は一日に客二、三十人が訪れ、一カ月の売り上げは約三百万円。客層は二十~六十代と幅広く、男性客が主だが、女性客も三割程度いるという。



 脱法ハーブは、草や葉に化学物質をふりかけて作られる。その効果を尋ねると、男性は「あくまで『お香』名目なので…」と苦笑いしつつ「まったり系、明るくなる系、エッチ系。あと、覚せい剤に近いものも」と説明した。



 周囲では、取り締まりのため都が行っている買い取り調査で違法成分が検出され、「これ以上やると逮捕される」と閉店が相次いでいるという。男性も販売自粛要請を受けたほか「うちでハーブを買って吸った客が倒れ、警察から連絡が入ったこともある」と話す。



 それでも「うちは合法のものしか扱っていないから、取り締まれませんよ」といい、メーカーから送られた規制対象外の張り紙を見せた。もちろん包括指定導入後も、店は続けるという。



 警察庁によると、全国の脱法ドラッグ販売店数は昨年末で二百八十八店確認され、半年前より九十四店減った。都内も昨年四月の八十七店をピークに、今月は六十一店まで減り、都薬務課は「規制強化の影響だろう」と分析する。



 警視庁も今月から、少年少女による脱法ハーブの所持を補導対象とした。



 だが、包括指定が盛り込まれる薬事法には所持や使用の禁止規定がない。警視庁の捜査関係者は「使用者の責任が問えないなら、包括指定しても同じだ」と指摘する。



 都薬務課の担当者は「化学式の基本骨格を微妙に変え、包括指定を免れる商品が出てくるだろう。これからは、基本骨格のいたちごっこになる可能性がある」と懸念している。



 <脱法ドラッグの規制> 厚生労働省は2007年、薬事法に基づき製造や販売、輸入を禁止できる「指定薬物」の個別指定を導入。だが、脱法ドラッグ使用者の救急搬送や事件事故が急増したため、成分が似た物質を一括規制できる包括指定の導入に踏み切った。対象は、大麻に成分が似た「合成カンナビノイド系」の772種で、従来の個別指定分を含めて指定薬物は851種に拡大する。罰則は5年以下の懲役か500万円以下の罰金だが、使用や所持を禁じる規定はない。同省は今後、包括指定の対象物質をさらに拡大する方針だが、具体的には決まっていない。

コメントを書く
コメントを投稿するには、ログイン(無料会員登録)が必要です。