為替レートの動向次第だが、上値は重そうだ

優利加さん
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昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA -14.05 @13,881.93, NASDAQ +4.59 @3,154.30)。本日の日本株全般も高安まちまちとなった。下げて始まる銘柄が多く、ドル円為替レートが91円台まで円安となったことを好感して一時は反発したが、結局、長めの上ヒゲを引いた銘柄が多かった。東証1部では上昇銘柄数が889に対して、下落銘柄数は663となった。騰落レシオは143.03%。東証1部の売買代金は2兆571億円。最近の株高のお陰で含み損が大幅に減少すると報じられたメガバンク株が急上昇した。

ウェイトが大きい銀行株が上昇したため、TOPIXは陽線で前日の陰線の半分以上のところまで切り返し、切り込み線となった。他方、日経平均は前日の陰線部分に僅かに戻っただけで、入首線となった。依然として為替レートの動向次第だが、上値は重そうだ。

TOPIX +7 @920
日経平均 +42円 @10,866円

昨年11月中旬以来、アベノミクスを囃して為替レートが円安へ大きく動き、それを好感して株高となってきた。バブル経済真っ盛りのときでさえ物価上昇率は1.5%程度だったものを2%へ人為的に引き上げようとしている。経済成長なしに物価だけ引き上げることになれば国民はそれだけ貧しくなる。したがって、物価上昇と同時に経済成長がないといけない。ではどれくらいの経済成長が必要か?或るエコノミストの計算によれば、消費者物価指数を2%へ押し上げるには、実質経済成長率2%が4年間続かなければならない。これはかなり高いハードルだ。現在の日本経済において金融政策だけでは到底無理なので、財政政策や規制緩和を含む根本的な成長戦略が必要だ。先日の追加金融緩和で決まったことは、日銀による資産の買い入れを無期限としたが、その対象は従来通り国債が中心であり、資産購入規模は今すぐではなく、2014年以降に現在の101兆円から111兆円に増えるだけである。財政政策も財源不足のため多くは期待できない。国土強靭化政策の旗印の下、公共事業にお金を使っても、高度成長期の1960年代には2を超えていた乗数効果は現在1前後しかない。これでは効率が悪い。運良く、物価を上昇させることができたとしても、そうなれば金利も上昇することになる。長期金利も上昇し、政府は借金の利払いに四苦八苦することになるだろう。そうなれば国債の急落もありうる。さらに、別の経路でも国債が売られる。日銀が大胆な金融政策を続け、仮に株価や不動産価格が上昇すれば、マネーはより儲かる方へ移動する。つまり、国債を売って、株や不動産が買われることになる。この経路で考えても国債は売られ、長期金利は上がり、政府は利払いにすら窮することになる。日本経済の視界はとても悪い。

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