ユリウスさんのブログ

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遺伝子が惜しい? 欲しい??

 最近、中年のある女性グループでこんなことが話題になったと耳にした。グループの従兄弟にあたる方が天才なんだという話。どれぐらい天才かというと、三歳頃には身の回りにある英語やローマ字で書かれたものは何でも意味が理解できたという凄い早熟ぶり。また、音楽的センスもすばらしく、ピアノを習うとすぐに相当のレベルで弾けるようになったし、長じてフランスに留学してからは、学ぶだけでなく、フランス語で講義できるのだそうだ。これだけ聞けば只者じゃないことは確かだ。誰だって会ってみたいと思う。

 それにそのいとこは独身だというからたまらない。女性グループではその男性が独身でいるのは何故か? 理由は何? 従兄弟なら、本人に聞いたらどう? 聞いてみてよ! と話は相当盛り上がったそうです。
 ちょっとはしたないような気もしますが、まぁ要するに、このままでは「遺伝子が惜しい!」、「何とかならないの?」と言うわけ。

 生臭い話はこれぐらいにして、以下は遺伝子のサイエンスの話。単純に考えると、このままの状態で時が経つと、彼の遺伝子は次の世代に残らないように思える。翔年は素晴らしい遺伝子のもらい手が出てきて欲しいと思うが、よくよく考えてみると、独身を続けたとしても、彼には自分の遺伝子を残す戦略があるのです。

一つは女性の誰かに受け取ってもらう方法。このやり方は誰でも大体分かる。
もう一つは2人の兄弟か8人のイトコの為に献身的につくす方法。

 後者はちょっと詳しい説明が要る。
 遺伝子のみに注目すると、兄弟とは1/2の確立で遺伝子を共有しているし、イトコなら1/8ですね。簡単にいうと、かれの遺伝子は8人のイトコの中に分散されて宿っているのです。例えば父方、母方のイトコを4人ずつ招集すれば、天才と目されている彼の遺伝子が揃う可能性があるということ。

 このことはJ・B・S・ホールデンという天才学者(イギリス人)が発見したことだと、竹内久美子さんの著書「そんなばかな!」に書いてある。ホールデンは生涯に2度結婚し、いずれの場合も子を熱望したが、ついに得られなかった。年齢的にもう無理だと悟った頃のこと、ロンドンの中心街のパブでこう叫んだそうだ。「二人のキョウダイか八人のイトコのためなら、私はいつでも命を投げ出す用意がある!」
 これは子を思う親の気持ちと全くおなじですね。

 親→子→孫 という直系ルートばっかり目が行くと、自分で繁殖できない個体は行き止りの失格者のように見えるが、実はそうではない、ということをホールデンは教えてくれている。
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