冬山さんのブログ
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中国の大国意識と、前近代史を根拠に拡大正当化をNHKが警鐘
NHK視点・論点「新政権の課題(3)中国の台頭と東アジア外交」において、
"中国の大国化に応じて中国人は自信を持ってきており、それが拡張志向をもってきており、前近代の王朝勢力圏を根拠として尖閣が中国領であるとする政府の見解に多くの中国人が疑問を持っていない"
との旨解説が行われていました。(ながら視聴だったので細部は誤認の可能性があります)
やはり中国にとって(というか大国にとっては往々にしてそうですが)法律や条約は道具に過ぎないのでしょう。自己に利するかどうかで取捨するのです。
尖閣などが中国領土であるという正当化は前近代的な経緯を根拠にするものの、日本への軍事攻撃を正当化については現代の国連の敵国条項を根拠としておりいわゆるダブルスタンダードだと思います。
それはさておき、(最近やたらと「漢民族」と民族意識を強調するきらいがあり、一方では内部的には分離の危険性もあるようですが、)対外的には官民両方の大国意識から国内の支持もあって中国の海軍力の増強は目を見張るものがあり、ロシアからのコピーだったものがいまや米豪へのスパイ活動も積極的に行うまでして先端造船工学を積極に取り入れ、独自の発展を見せています。
もちろん日本の防衛産業へのスパイ行為も大して発覚していないだけで少なからずあるでしょう。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20121124/dms1211241153001-n1.htm
日本は技術水準はとても高い割に、防諜は低レベルで、法的整備も不十分です。
中国の軍拡の中でも揚陸戦力は数的にも質的にも充実してきており、揚陸艦は90年代から大量建造された072II型、072III型や、現在建造中の071型。いまや大型揚陸艦で30隻。さらに計画中の081型。
その搭載するエアクッション揚陸艇と水陸両用装甲車両類も充実してきています。
そして特段先進的ではないにしろ、中国海軍の空母遼寧就役は特筆すべきことでした。ただあの空母は迷走の結果とも聞きます。遼寧自体は練習空母的な性質が強く旧日本海軍の鳳翔みたいなポジションになると思いますが、あれがうまくいくなら本格的空母建造に力を入れ始めるかもしれません。
これからも中国海軍の空母派とそれ以外の対立は続きそうです。空母をそろえて外洋海軍化していくのか、あるいは米国機動部隊に対処するに空母で太刀打ちは難しく時間もかかるので潜水艦で対抗するべきか。など。
中国の空母は政治的にインパクトは大きく、軍事的インパクトは今のところ小さいと思います。
空母は政治的なインパクトがたいへん大きく、中国の野心を体現しているような存在ですから、中国にとっては近隣国の不安をあおる効果があるでしょう。
また少なくとも短期的に、中国のリソースが空母建造と艦載機開発の方に投入されたのは、直ちに使い物になるとは思えないので、軍事的には近隣国にとっては内心プラスの面もあるかもしれません。
また日本に大型空母は不要でしょうが、2~3万トンの軽空母ないし強襲揚陸艦はあってもよいと思います。
事実22DDH,24DDHはそういう性質が強いです。
ただ自衛隊海兵隊設置構想やF-35Bの実用化目途(ならび日本での採用実現性)の可能性を考えるとこちらも直ちに実現できるとはとても思えませんが。
ただ中国の軍拡がそのまま軍事的手段で使用されるとは限りません。軍事的手段を実行しなくても、その武威をもって周辺中小国を従属させる効果を持ちえます。
もちろん局地戦で相手を疲弊させて外交的に従わせる程度のことはしうると思いますが。
経済的手段にしても、間接的な圧力を見せればそれで十分ですし、中国の外交政策にしてもアフリカのスーダンのような独裁国を支援したり、カンボジアのクメールルージュを支援した実例など、すでに自由主義・民主主義国(もちろん名ばかり国名だけでなくて本当に自由で民主的な国家)からは最大限嫌われているからこそあまり配慮しないで取れる中国の独自の外交政策だと思います。
それであっても外交の場で自分のシンパの国を確保していけばそれなりに十分な多数派工作につながりますし、その勢いに近隣国が屈せば、例えばベトナム・台湾・韓国などが時折中国への接近の動き見せていることも大国化する中国に従わざるを得ないようになってきているとも思えますし、まるで前近代の冊封体制のようにも見えますし、それは中国の大国意識の根拠となっているかつての王朝の支配体制と同じです。
そうなると中国の政策に対抗の意識を崩さないのは中国の近隣国家で日本とあとはフィリピンぐらいのものでしょう(まあアメリカの属国とも言えますが)。日本はベトナムや韓国が中国に過剰になびかないようにする必要があります。
余談ですが、昨年のフィリピンの住友金属鉱山のニッケル鉱山と関連施設が武装勢力に占拠された事件がありました。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2003K_Q1A021C1FF1000/
今回の日揮みたいな大事件にはなりませんでしたが、これを起こした新人民軍(NPA)は現在では否定されているものの、以前は中国共産党からの支援を受けていたとされ、
http://www.epochtimes.jp/jp/2010/12/print/prt_d34185.html
中国は自己に対抗する姿勢を持つ国家へ内部工作を行っているとも思えます。支援する勢力が政治的成功をおさめなくても、一定の政治勢力になったり、武力でその国家を不安定化させるだけでも海外からの投資が細るでしょうからそれでも十分でしょう。(まあ米ソもやっていたことですが)
最近はフィリピンも中国に接近するような動き(中国からの兵器導入など)を見せたりしていましたが、今度はそういう中国への恭順のようなことをしたと思ったら一転して中国は南シナ海外交政策の押し付けというベトナムや日本で行ったお決まりのセットを仕掛けられてきいるようです。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MH0U586TTDTH01.html
日本は日本でフィリピンの安定化のために、モロ・イスラム解放戦線(MILF)とフィリピン政府の仲介を行い、成田でトップ会談を実現させたりはしており、客観視すると中国と日米の極東諸国の自陣営への綱引きは大変興味深く、面白いです。
http://www.47news.jp/CN/201108/CN2011080501000559.html
実際ベトナムは反中感情の一方で経済は、特に中国ベトナム国境地帯で人民元経済圏に取り込まれている部分がありますし。
ただ資源開発では事実上の国営企業も持ってますから、ベトナムの排他的経済水域(EEZ)を無視して海洋開発の権益を入札募集し、自国の企業に入札させるなどしました。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M698HA6TTDSU01.html
(まあこれはこれでかえってベトナムが中国接近姿勢から中国対抗意識のほうに変化し、ロシアに接近する動きを見せたので結果的にはこれは良い兆候かもしれません)
http://www.emeye.jp/disp/VNM/2012/0728/stockname_0728_015/0/
http://www.emeye.jp/disp/VNM/2012/1017/stockname_1017_004/0/
さしあたり中国が狙うのは海洋と島嶼です。そういった海洋権益(漁業権など水産資源と、海底の希少物質)は経済的価値が大きく、免責的には小さい島を実効支配すれば、経済的に主たる価値は島自体ではなくて、島を起点とした領海と経済水域ですから効率も良いでしょう。
http://blog.seesaa.jp/tb/161391120
週刊オブイエクトさんの中国海軍の揚陸戦力においては、中国海軍の揚陸戦能力の増強は世界第二位だが、優先度は低く、まずは「原子力潜水艦と、建造が確実視されている航空母艦、およびその護衛の広域防空艦の順番」とのことでした。
私は米軍が出てこない場合は、源泉や防空艦の充実前でも十分使えると思っていましたがそうでもないのでしょうかね。特にベトナム相手などで。
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こんばんは
横柄な漢民族の覇権主義で成り立っている国です★
じきに内部分裂・崩壊をするのは、歴史の必然でしょう。
それまでの辛抱で、そうなれば他国になんか構っていられなくなりますよ。
人権保護を名目に、チベットとか色々な少数民族に支援を表明したらどうかな?
きっと漢民族政権はヒステリーを起こすんだろうなぁ~(^。^)
分裂の可能性はあるとしても、それは我々の反中感情からくる願望も少なからずあり、またそれは分裂しなかった場合に油断にもつながるので、相手は常に強いものと構えたほうがいいのではないかなと思います。
また、国内の不満をそらすための対外侵略は国内をまとめる絶好の手段でもあります。その場合は局地戦を仕掛けてきてもおかしくないとおもいます。
それは戦争ではなく、「我が国の領海が○○国によって侵され、○○国の軍艦の射撃により我が国の民間船とその乗員の安全が脅かされたため、国内法に基づき海上警備行動(この語は自衛隊法によるものなので実際には中国的言い回しになるでしょう)により撃沈する」のような位置づけで行われる可能性が高いと思います。まあそれは日本側もとりえる手段ではあると思いますが。
とくにそういった局地戦をうける可能性があるのは日本よりむしろ、米国との関係構築が不完全なベトナムあたりだと私は考えています。陸戦は泥沼化しかねませんし、ベトナム陸軍は現代でも強い可能性がありますから、質・量の明らかに劣ったべトナム海空軍に対して海戦・空戦に限ってしかけ、中国のワンサイドゲームで終わるというのは大いにありうると私は思っています。
問題なのは国内分裂のリスクが高まるほど、「漢民族」あるいは少数民族も含めて中華王朝の文明に属す単一民族と定義して「中華民族」といった民族意識をあおると同時に、対外強硬化と自国内へ他国への敵意煽動を仕掛ける性質があることです。
その点では中国はベトナムに対して最後の恭順のチャンス与えているのか、敵意煽動は明らかに日本にしぼって行われているようです。また、「このような民族意識と人口を持つ中国を敵に回しては危険」という論調が起こるという副次的効果も発生しているように感じます。
いっぽう中国は沖縄県人のアイデンティティを日本から独立させようという公策を行っているように感じます。杞憂と思われるかもしれませんが十分に警戒すべきだと私は考えます。
また、中国内部でそういった民族意識を否定するようなこともおそらく処罰されるでしょうし経済的関係がやはり深いため。大変厄介な相手にほかなりません。
とはいえ中国の軍事力や、周辺国の対中依存度を上回って(あるいは先走って)大国意識化と覇権主義的傾向に豹変してしまったので、それは周辺国にとっては不幸中の幸いなのではないかなと思っています。
防衛力整備のためには経済を強くせねばならぬのですが、今の安倍政権にはそれが分かっているとは思えないですね。
どうでしょう。経済政策重視で始めているので個人的には十分な気がしますが、この取り組みが実際に結実するかという危うさでしょうか?
それとも日銀に関わる部分で事前に期待したほどの大胆さやスピード感が足りなかったとかそういうことでしょうか?
あるいは、不用意な発言をしてしまった甘利氏や、石破氏などちょっと経済感覚の怪しそうな閣僚がちらほらいる件でしょうか?
また、アベノミクスが大規模公共事業に頼っている部分は、将来の経済構造の強化につながるかというとそれは疑問な点はありますが。