トヨタ自動車系の自動車マフラー大手で東証一部上場のフタバ産業(愛知県岡崎市)で2009年に発覚した不正融資問題で、当時の役員らが、出資するロボットメーカー「ビジネスデザイン研究所」(BDL、名古屋市中区)への巨額融資を隠すため、銀行の振込伝票を偽造したなどとして、県警は16日、有印私文書偽造、同行使の疑いで、フタバ産業常務だった市川康夫容疑者(64)=岡崎市大和町=ら3人を逮捕した。
ほかに逮捕されたのは、当時のフタバ産業経理担当役員でBDLの監査役だった加藤博久(60)=岡崎市欠町、BDL社長の木村憲次(63)=名古屋市港区油屋町2=の両容疑者。
逮捕容疑では、共謀して08年3、4月に名古屋市の取引会社を通じてBDLに渡った約15億円の不正融資を隠すことを画策。別の2社から資材などを購入した取引だったように装うため、08年10月下旬、取引会社から2社への振込伝票3通を偽造し、コピーを監査法人にファクスしたとされる。
県警によると、市川容疑者は「私が指示した」と供述。加藤容疑者も容疑を認めているが、木村容疑者は黙秘しているという。
不正融資が発覚した09年5月、フタバ産業は加藤容疑者を懲戒解雇、市川容疑者と当時の社長は引責辞任した。同社は昨年11月、県警に告発した。
フタバ産業が設置した特別調査委員会の発表によると、同社は03年6月にBDLに出資。05年8月~09年2月、取締役会決議など正規の手続きを経ずに、計約64億円を金融支援した。BDLの財務状況が悪化したためで、当時の社長の肝いりだったとされる。発覚時、約17億円が未返済で、今回の15億円はこの一部とみられる。